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本と編集の総合企業SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLE…

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本と編集の総合企業SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)の公式noteです。SPBSからのお知らせやスタッフのインタビュー、イベントやスクールのレビューを投稿します。

マガジン

  • SPBS編集部「本が読めない」

    出版する本屋・SPBSの編集部メンバーによる連載です。毎週金曜日更新(間に合わない日もあるかもしれない)。交代で自由にゆるゆると、誰に語るでもないひとりごとを呟きます。

  • SPBS THE SCHOOL

    SPBS THE SCHOOLは、あらゆるものごとを編集する企業・SPBSが主催し、“編集”を通して世の中を面白くする遊びと学びのラボラトリー(実験の場)です。

  • SPBSインタビュー

    SPBSの店舗や編集部のスタッフインタビューをまとめています。

  • イベントレポート

    これまでに開催したイベントやスクールのレポート記事をまとめています。

  • SPBS編集ワークショップ2023

    1冊の雑誌づくりを通して編集の醍醐味を体感する連続講座「SPBS編集ワークショップ 2023」の受講生によるレポートです。

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SPBS編集部「本が読めない」

出版する本屋・SPBSの編集部メンバーによる連載です。毎週金曜日更新(間に合わない日もあるかもしれない)。交代で自由にゆるゆると、誰に語るでもないひとりごとを呟きます。

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  • 22本

紫陽花の豆皿

幼い頃から人見知りで、いまでも知らない人とのコミュニケーションは得意ではない。特に店員さんに話しかけられると、とても居心地が悪い。 だが、いまでも心に残っている店員さんとの会話がある。裏路地にひっそりと佇む、小さなアンティークショップに立ち寄った時のことだ。   軒先に並べられた箱の中に、紫陽花柄のシンプルな豆皿を見つけ、値段もかなり手頃だったので買うことにした。扉は開放されていて入りづらい雰囲気ではなかったが、所狭しと並べられた食器や骨董品の数々に圧倒されながらレジに持って

水の音が聴こえる盛岡の街で

2時間10分だった。 東京駅を9時36分に出発し、はやぶさ13号に乗って11時46分に着いたのは盛岡駅だ。なんと言っても驚いたのは、東京駅から盛岡駅までの移動時間の短さ。最速のダイヤだったようで、お昼前には盛岡駅の壁面に設置された、石川啄木の「もりおか」の文字を見ることができたのである。なんなら体感の乗車時間はもっと短かったように思う。 今回初めて盛岡に訪れたのだが(岩手県自体が初めて)、関東で暮らしている自分にとって東北地方、特に仙台より北はなんとなく「ものすごく遠い地

いつも心に中村慎森

先日、29歳の誕生日を迎えた。 誕生日や新年が訪れるたびに聞かれる質問の中で、いつも答えに窮するものがある。それが「抱負」だ。誕生日なら生まれた日、新年なら元日、それぞれのタイミングで、「29歳の抱負はありますか?」「今年の抱負はありますか?」など、その年の決意や計画を表明することが迫られる。そして、誕生日や新年を機に何か新しい気持ちを持つという前提が、29年生きてきた今でもなかなか受け入れられずにいる。 日付を記号だと思っているため、年齢や元号が変化しても「数字が増えた

『虎に翼』世代の女子たちが夢中になって読んでいた、昭和5年のお宝雑誌を発掘

今期の朝ドラ『虎に翼』が、とてもおもしろい。 さまざまな場面で苦労を強いられる、強いられてもそんなものだと思って気づくこともない女性の立場の弱さに「はて?」と立ち止まって疑問を抱き、さまざまな困難を乗り越えながら、法を力に立ち向かう女性たちが、とてもかっこよい。かつては司法試験すら受けられなかった、裁判官にはなれなかった、育休制度もなかった、結婚すれば「無能力者」という立場だった“無数の彼女たち”の営みが積み重なっていまがあるのだと思うと、心から「ありがとう」と言いたくなる

SPBS THE SCHOOL

SPBS THE SCHOOLは、あらゆるものごとを編集する企業・SPBSが主催し、“編集”を通して世の中を面白くする遊びと学びのラボラトリー(実験の場)です。

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  • 16本

今、コーヒーショップをはじめるには。コーヒーの街・奥渋谷で学ぶ、店づくりの秘訣

カフェや、コンビニなど街中のさまざまな場所で提供され、手軽に日常に取り入れられるようになったコーヒー。 中でも良質なコーヒーにこだわったコーヒーショップや、小さなスペースで営業するコーヒースタンドは、地域の憩いの場であり、雑談する場としても機能しています。 私たちSPBSも、2020年に豊洲店に新業態としてカフェラウンジをオープンして以来、本屋とはまた異なるお客さまとのコミュニケーションやつながりを実感してきました。 この度、本屋の学校・SPBS THE SCHOOLでは

歌集の表現を自由に楽しむことで、自分を見つめ直す【歌集編集ワークショップ[第2期]企画者インタビュー:後編】

▼ 前編はこちら 歌集の表現の幅広さを学び、「自分の歌集」をつくる──講座で印象に残っているエピソードはありますか? 鈴木:第6回以降の回に講師としてご登壇いただいた小島なおさんの講義です。小島さんはミニ歌集の編集者でありながら、一人の歌人として著者である受講生に寄り添う立場でも制作をサポートしていただきました。 第6回で「啓発本など誰かの知識の参考になる本を作るならまだしも、自分のポエムを本にして晒そうとする精神、皆さんシラフじゃ耐えられないでしょう?」と、笑顔でお話

既存の都市やまちが特別になる ──アーバニストユニット〈for Cities〉の石川由佳子さんと杉田真理子さんに訊く、場づくりの編集と「よそ者的態度」とは? 後編

▽ 前編はこちら *わたしが関わると、まちが変わる。「SPBS THE SCHOOL 編集のレッスン [第3期]」アーカイブ視聴コースの受講生を募集中です。 申込締切:2024年9月末まで まちへの「介入」は、小さなことからでいい ──講座の開講にあたり、お二人は場の編集を「都市、空間への介入の可能性を探っていくこと」という言葉で示しています。具体的にはどのような視点や活動を大切にしていますか? 石川さん:新しいものを作るというより、いろんな情報がテーブルの上に置いて

アーバニストとしてまちと関わる ──for Citiesの石川由佳子さんと杉田真理子さんに訊く、コミュニケーションを生み出す「よそ者」の編集的視点 前編

*わたしが関わると、まちが変わる。「SPBS THE SCHOOL 編集のレッスン [第3期]」アーカイブ視聴コースの受講生を募集中です。 申込締切:2024年9月末まで まちのルールや空気によって、感情や関係性、豊かさの感じ方が変わる──まず、お二人が都市に関心を持つようになったきっかけを教えてください。 杉田さん:私たちは二人とも幼い頃から海外のまちに住んだり、いろんな都市を訪ねたりすることが多かったので、都市の文化や構造の違いなどを比較する対象としてまちに興味を持ち

SPBSインタビュー

SPBSの店舗や編集部のスタッフインタビューをまとめています。

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  • 17本

自分一人だけの表現から、他者と生み出す一冊へ。【歌集編集ワークショップ[第2期] 企画者インタビュー:前編】

偶然からの挑戦──「歌集編集ワークショップ」を企画した背景を教えてください。 北村:僕も鈴木さんも短歌を詠んだり歌集を作ったりした経験はなくて、最近書店で歌集が盛り上がっていることを知っていたくらいでした。歌集の世界がどのようなものなのか、そこまで分かっていなかったんですよね。 「歌集編集ワークショップ」の企画は、2023年に実施した〈SPBS BOOKTALK FESTIVAL〉で、枡野浩一さん、穂村弘さん、くどうれいんさんをお招きした「ブックデザイン自慢合戦 〜考え

「書く」の手前にある「聞く」に意識を向けながら、これからの批評を考える。【批評ワークショップ企画者インタビュー:後編】

▼ 前編はこちら あやふやな対話の効用──ゲスト選定や講座の運営で意識したことはありましたか。 加藤:批評活動の最前線で活躍されているゲストの8名は、ナビゲーターの水上さんからアドバイスをいただきながら決めました。その中でも、クィア批評やフェミニズム批評の観点から研究を行ったり、ものを書いたりしている人たちをお呼びしたことは特に意識したところでもあります。昔から存在していたにもかかわらず「メインではない」「マジョリティではない」とラベリングされたものについて、改めて学ぶ機

誰もが批評を手に取ることができる文化をつくるために。【批評ワークショップ企画者インタビュー:前編】

これまでの批評が取りこぼしてきたもの──加藤さんは昔から批評に触れていたのでしょうか。 加藤:学生の頃から、映画や演劇、漫画、アニメなどを対象としたものを中心に批評に触れていましたが、実は途中からあまり楽しめなくなって離れてしまった時期がありました。当時はいわゆる「ゼロ年代批評」と呼ばれるものの勢いが強かったのですが、そうした批評を中心として、当時の批評にどこか閉鎖的なムードを感じていたからだと思います。 例えば、西洋の思想家による批評的な視座や言葉を集めて、いかに複雑

【企画担当者に聞く!】「知る」で終わらない。農園フィールドワークで得たこと。「おいしいってなんだ?」の真髄

本屋が「食」の講座をする理由 ──SPBSは本屋や出版を生業にしている会社ですが、なぜ、農園フィールドワークを講座にしようと思ったのですか? 鈴木:私たちは、本屋だから、「読書はいいですよ、大事ですよ」って言うんですが、世の中に情報はたくさん溢れていて、とても全部消化はしきれないですよね。「知る」だけなら、本すら読まなくても、AIがうまくまとめてくれた情報だけでいいかもしれない。一方で、そもそも人間が、実際に生きるという行為にインストールできる知識はそう多くはないんだろう

イベントレポート

これまでに開催したイベントやスクールのレポート記事をまとめています。

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  • 7本

自分に耳を傾け、自分の音を奏でる。ポッドキャスト制作講座

▼やまださんの振り返りレポートはこちら 「自分の存在を確かめられると同時に、どこかの誰かと繋がることができる(かもしれない)場所を作りたい。それも、顔が見えないけれど声は聴こえるという距離感で人と関わることができたら面白いかもしれない」 そんな気持ちで、勇気も自慢のネタもなかったけれど、全3回の講座で配信までしてしまうという勢いに乗って参加した。 第1回「企画する」第1回と第2回の午前中は、ゲスト講師に人気ポッドキャストのパーソナリティたちを迎え、番組の企画や編集をするこ

作るノウハウと育てるマインドで番組作りを“出来る“に落とし込めた3日間

▼柳原さんの振り返りレポートはこちら 第1回「企画する」おしゃべりの現在地を、最前線のお二人に聞く 2024年2月11日、ポッドキャスト番組制作ワークショップ「Making of Podcast」全3回の1回目が開催された。第1回と第2回の前半は、ゲスト講師に人気ポッドキャストのパーソナリティたちを迎え、番組の企画や編集をすることについての講義。初回のゲストはポッドキャスト番組「味な副音声」の平野紗季子さんと「ゆる言語学ラジオ」の水野太貴さん。 お話をお聞きしていて、同

「Making of Podcast」受講生のオリジナル番組を一挙紹介します!

大貫:本講座では全3回のカリキュラムを通して、15のオリジナル番組が出来上がりました。受講生は全員ポッドキャスト制作が初めてでしたが、その人の個性や番組の世界観がどれも際立っていますね。 鈴木:そうですね。それでは早速紹介していきたいと思います! パーソナルなメディアとしてのポッドキャスト鈴木:私が始めに紹介したいのは「きっとだれかのたからもの」です。声のトーンや話すスピード感から、とても親密でパーソナルな印象を受けました。おそらく、普段からわりとゆっくり話すような方だと

サウナビルダー×サウナマニア×施設支配人によるサウナの講座、はじめます!

こんにちは、SPBS THE SCOOLの北村です。 現在、2月26日(日)から新しく始まるSPBS THE SCHOOLの新企画【「GEEK OUT SAUNA」~サウナギークから学び、“良いサウナ”を探求し再構築するための連続講座】の準備を進めています。 タイトルだけでピンときた方、かなりのサウナ好きでしょう(笑) この記事では、なぜ本屋のSPBSでサウナをテーマにした講座を実施するのか、この講座で何を学ぶことができるのかについて書いていきたいと思います。 SPB

SPBS編集ワークショップ2023

1冊の雑誌づくりを通して編集の醍醐味を体感する連続講座「SPBS編集ワークショップ 2023」の受講生によるレポートです。

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  • 11本

1人1冊の雑誌を、たくさんの人たちと作り上げていく

 2023年8月19日、編集のワークショップ第9回が開催されました。今回からは制作コース受講生のみが参加し、本格的に雑誌制作がスタート。  前半にゲスト講師の方の講義を、後半に課題へのフィードバックをいただいていた前回までと異なり、みんなで進捗を共有したり、SPBSの福井さんに1対1の面談のような形でアドバイスをいただいたりしました。  会場に一番乗りした私は、大きなテーブルの端っこに腰掛けました。入ってくる他の受講生にひとりずつ挨拶をしつつ準備をしていると「コーヒーの雑

「あなた」に手にして欲しい 雑誌デザインは読者と編集者を繋ぐコミュニケーションのはじまり

 第8回(2023年8月5日開催)のテーマは“デザイン② 本・雑誌に生命力を与える”。前回(第7回)の講義でもご登壇いただいたアートディレクター(以降、「AD」と略)の佐藤亜沙美さんをお迎えしました。最終回にふさわしい雑誌デザインについて、佐藤さんが手がけられた雑誌“文藝”リニューアル秘話を元に解説くださいました(2019年夏季号以降、佐藤さんがADとして携わられています)。  前半は佐藤さんによる講義、後半は雑誌制作コースの受講者の事前課題(作りたい雑誌の表紙デザイン)に

デザインの役割は“生命力”を高めること? 雑誌を「死なせない」ために必要なのは“空気”

 7月22日、SPBS編集ワークショップ2023の第7回目が開催された。今回は、講師にデザイナーの佐藤亜沙美さんが迎えられ、テーマは「本と雑誌におけるデザインの役割とは」。前半は講義、後半はワークとして、受講生が実際に思考マップと呼ばれるシートに取り組む。  印象に残った佐藤さんの言葉が2つある。まず、「読者は、ごくごく飲みたい情報を欲しがっているはず」という言葉だ。何となく、植物に水が降り注ぐようなイメージが頭の中に浮かんだ。自然にあるけれど、どこにも引っかからず、すっと

書く、寝かせる、読み直す 書き手と読み手をつなぐ記事づくり

 2023年7月8日の編集のワークショップ第6回は、文筆家の佐久間裕美子さんをお迎えしての開催。本ワークショップにおいて、最初で、おそらく最後のオンラインでの講義ということもあり、いつもと違った新鮮な気持ちでお話を聞くことができました。  前半は佐久間さんご自身の経験を交えながら講義をしていただきました。「原稿への向き合い方」がテーマでしたが、企画を立ち上げるところから取材の計画、実際に記事を書くときに考えていることなど、幅広く実践的なお話をしてくださいました。  特に印