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本と編集の総合企業SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)の公式noteです。SPBSからのお知らせやスタッフのインタビュー、イベントやスクールのレビューを投稿します。

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マガジン

  • SPBS編集部「本が読めない」

    出版する本屋・SPBSの編集部メンバーによる連載です。毎週金曜日更新(間に合わない日もあるかもしれない)。交代で自由にゆるゆると、誰に語るでもないひとりごとを呟きます。

  • SPBS THE SCHOOL

    SPBS THE SCHOOLは、あらゆるものごとを編集する企業・SPBSが主催し、“編集”を通して世の中を面白くする遊びと学びのラボラトリー(実験の場)です。

  • SPBSインタビュー

    SPBSの店舗や編集部のスタッフインタビューをまとめています。

  • イベントレポート

    これまでに開催したイベントやスクールのレポート記事をまとめています。

  • SPBS編集ワークショップ2023

    1冊の雑誌づくりを通して編集の醍醐味を体感する連続講座「SPBS編集ワークショップ 2023」の受講生によるレポートです。

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記事一覧

水の音が聴こえる盛岡の街で

今、コーヒーショップをはじめるには。コーヒーの街・奥渋谷で学ぶ、店づくりの秘訣

いつも心に中村慎森

『虎に翼』世代の女子たちが夢中になって読んでいた、昭和5年のお宝雑誌を発掘

いつの時代も憧憬の地となって

体系に回収されない言葉

歌集の表現を自由に楽しむことで、自分を見つめ直す【歌集編集ワークショップ[第2期]企画者インタビュー:後編】

自分一人だけの表現から、他者と生み出す一冊へ。【歌集編集ワークショップ[第2期] 企画者インタビュー:前編】

敗者に光が当たるとき──忘れられない銀メダル

待ち時間

自然と歴史への感銘。そして今を捉える。

AIが台頭する時代に、自分の頭と感覚だけを使って本屋を“たんけん”しよう──富士通インスピラボ×SPBS「せんしょのたんけん」

自分に耳を傾け、自分の音を奏でる。ポッドキャスト制作講座

作るノウハウと育てるマインドで番組作りを“出来る“に落とし込めた3日間

庭のような場づくり

「Making of Podcast」受講生のオリジナル番組を一挙紹介します!

水の音が聴こえる盛岡の街で

2時間10分だった。 東京駅を9時36分に出発し、はやぶさ13号に乗って11時46分に着いたのは盛岡駅だ。なんと言っても驚いたのは、東京駅から盛岡駅までの移動時間の短さ。最速のダイヤだったようで、お昼前には盛岡駅の壁面に設置された、石川啄木の「もりおか」の文字を見ることができたのである。なんなら体感の乗車時間はもっと短かったように思う。 今回初めて盛岡に訪れたのだが(岩手県自体が初めて)、関東で暮らしている自分にとって東北地方、特に仙台より北はなんとなく「ものすごく遠い地

固定された記事

今、コーヒーショップをはじめるには。コーヒーの街・奥渋谷で学ぶ、店づくりの秘訣

カフェや、コンビニなど街中のさまざまな場所で提供され、手軽に日常に取り入れられるようになったコーヒー。 中でも良質なコーヒーにこだわったコーヒーショップや、小さなスペースで営業するコーヒースタンドは、地域の憩いの場であり、雑談する場としても機能しています。 私たちSPBSも、2020年に豊洲店に新業態としてカフェラウンジをオープンして以来、本屋とはまた異なるお客さまとのコミュニケーションやつながりを実感してきました。 この度、本屋の学校・SPBS THE SCHOOLでは

いつも心に中村慎森

先日、29歳の誕生日を迎えた。 誕生日や新年が訪れるたびに聞かれる質問の中で、いつも答えに窮するものがある。それが「抱負」だ。誕生日なら生まれた日、新年なら元日、それぞれのタイミングで、「29歳の抱負はありますか?」「今年の抱負はありますか?」など、その年の決意や計画を表明することが迫られる。そして、誕生日や新年を機に何か新しい気持ちを持つという前提が、29年生きてきた今でもなかなか受け入れられずにいる。 日付を記号だと思っているため、年齢や元号が変化しても「数字が増えた

『虎に翼』世代の女子たちが夢中になって読んでいた、昭和5年のお宝雑誌を発掘

今期の朝ドラ『虎に翼』が、とてもおもしろい。 さまざまな場面で苦労を強いられる、強いられてもそんなものだと思って気づくこともない女性の立場の弱さに「はて?」と立ち止まって疑問を抱き、さまざまな困難を乗り越えながら、法を力に立ち向かう女性たちが、とてもかっこよい。かつては司法試験すら受けられなかった、裁判官にはなれなかった、育休制度もなかった、結婚すれば「無能力者」という立場だった“無数の彼女たち”の営みが積み重なっていまがあるのだと思うと、心から「ありがとう」と言いたくなる

いつの時代も憧憬の地となって

2022年のゴールデンウィークは、福島県を回ってみたいと考えた。結果からお伝えすると、東京駅から出発して新白河(白河)、郡山、会津若松、福島・飯山温泉、浪江町・双葉町、いわき・湯本温泉を訪れることができた。 福島県に入ってからは、公共交通機関(主に電車)で移動したいと考えていたので、初めは東京から一番近い、福島県側の新幹線の駅を調べた。おのずと、最初の到着地は白河の街に決まった。 もちろん、経由地としてただ通り過ぎてしまうのはもったいないので、ぜひ観光しようとマップを見な

体系に回収されない言葉

編集の仕事をしていると、制作する誌面や記事において、文章の正確性や論理の整合性などをしっかりと確認しなければならない機会が多い。事実にそぐわない内容を盛り込んだ記事をつくったり、インタビューをした相手の本来の意図や心理とは異なる表現をしたりしてしまわないよう細心の注意をはらい、関係者とのできるだけ正確なコミュニケーションを心がけて意思疎通をはかる。 仕事でそのような正しい情報や論理の文章に触れていると、基本的に文章というものはそれしか許されないものなんじゃないかと思ってしま

歌集の表現を自由に楽しむことで、自分を見つめ直す【歌集編集ワークショップ[第2期]企画者インタビュー:後編】

▼ 前編はこちら 歌集の表現の幅広さを学び、「自分の歌集」をつくる──講座で印象に残っているエピソードはありますか? 鈴木:第6回以降の回に講師としてご登壇いただいた小島なおさんの講義です。小島さんはミニ歌集の編集者でありながら、一人の歌人として著者である受講生に寄り添う立場でも制作をサポートしていただきました。 第6回で「啓発本など誰かの知識の参考になる本を作るならまだしも、自分のポエムを本にして晒そうとする精神、皆さんシラフじゃ耐えられないでしょう?」と、笑顔でお話

自分一人だけの表現から、他者と生み出す一冊へ。【歌集編集ワークショップ[第2期] 企画者インタビュー:前編】

偶然からの挑戦──「歌集編集ワークショップ」を企画した背景を教えてください。 北村:僕も鈴木さんも短歌を詠んだり歌集を作ったりした経験はなくて、最近書店で歌集が盛り上がっていることを知っていたくらいでした。歌集の世界がどのようなものなのか、そこまで分かっていなかったんですよね。 「歌集編集ワークショップ」の企画は、2023年に実施した〈SPBS BOOKTALK FESTIVAL〉で、枡野浩一さん、穂村弘さん、くどうれいんさんをお招きした「ブックデザイン自慢合戦 〜考え

敗者に光が当たるとき──忘れられない銀メダル

 勝ち方を身につけることは、簡単ではない。けれども、それよりはるかに難しいのは、負け方、負けの受け入れ方ではないだろうか。  スポーツでも、選挙でも、勝敗がつくような戦いでは、勝てば達成感も得られるし、周囲からの祝福や称賛も受ける。勝つ者がいれば、必ずその反対側に、負ける者もいる。負けて悔しい目の前で、勝者が喜び、周囲が称える姿を見ることは、どんなにつらいことだろう。メディアが入る勝負ならばなおさらだ。負けて悔しい思いをしているときに、カメラを向けられてしまうのは、残酷なこ

待ち時間

家から坂の麓に降りてちょっとだけ歩いたところに、踏切がある。   これが本当に鬱陶しくて、踏切が一度下りてしまうと、必ず3、4本ぐらい連続で電車が来る。おまけに最後の1本に限って、ものすごく長くて遅い電車だったりするので、たちが悪い。 それでも、すぐ隣にある歩道橋を使うとなんだか負けた気持ちになるので、私はなるべく真っ向勝負をするようにしている。   高校生の頃、遅刻常習犯だった私は(今考えてみれば、8:20ホームルーム開始なんて早すぎて正気じゃない)ギリギリ間に合う時間に出

自然と歴史への感銘。そして今を捉える。

1日のはじまりはロープウェーから その日は姫路駅や姫路城より北に位置している、書寫山圓教寺にロープウェーで向かうことから始まった。前日に姫路駅に着き、雨がぱらぱらと降ったりやんだりする中、北口から凛としたその姿をのぞかせる白鷺の城まで一直線に進んだ。 今回の旅の目的は「姫路城」と「竹田城跡」である。竹田城跡は兵庫県朝来市にあり、雲海が見られることでも有名な史跡だ。大学時代からの友人とふたりで、数年前の年末に現地集合で旅行を計画した。 書寫山圓教寺に訪れることは、友人の提

AIが台頭する時代に、自分の頭と感覚だけを使って本屋を“たんけん”しよう──富士通インスピラボ×SPBS「せんしょのたんけん」

もはや親しい友人の電話番号も覚えていないし(スマホに登録されている)、来週の会議の予定も空では言えないし(ビジネスアプリに登録し、社内で共有されている)、おとといの夜ごはんが何だったかも思い出せない(特別なごはんならスマホの写真に残っているかもしれないけど)。新しい業務について下調べをするときは、ChatGPTが瞬時にそれらしく情報をまとめてくれる──。 私たちの記憶や思考やアウトプットする力はとてつもないスピードでAIに追い越され、デジタルデバイスなしの生活や仕事はもはや

自分に耳を傾け、自分の音を奏でる。ポッドキャスト制作講座

▼やまださんの振り返りレポートはこちら 「自分の存在を確かめられると同時に、どこかの誰かと繋がることができる(かもしれない)場所を作りたい。それも、顔が見えないけれど声は聴こえるという距離感で人と関わることができたら面白いかもしれない」 そんな気持ちで、勇気も自慢のネタもなかったけれど、全3回の講座で配信までしてしまうという勢いに乗って参加した。 第1回「企画する」第1回と第2回の午前中は、ゲスト講師に人気ポッドキャストのパーソナリティたちを迎え、番組の企画や編集をするこ

作るノウハウと育てるマインドで番組作りを“出来る“に落とし込めた3日間

▼柳原さんの振り返りレポートはこちら 第1回「企画する」おしゃべりの現在地を、最前線のお二人に聞く 2024年2月11日、ポッドキャスト番組制作ワークショップ「Making of Podcast」全3回の1回目が開催された。第1回と第2回の前半は、ゲスト講師に人気ポッドキャストのパーソナリティたちを迎え、番組の企画や編集をすることについての講義。初回のゲストはポッドキャスト番組「味な副音声」の平野紗季子さんと「ゆる言語学ラジオ」の水野太貴さん。 お話をお聞きしていて、同

庭のような場づくり

週に一度、SPBSのメディア事業部内のメンバーで30分ほど対話の時間を設けている。対話のテーマは当番制でその週の担当者が持ってくることになっていて、「推敲について」「推しについて」「架空の小説の一行目から風景描写を連想する」など、毎回のテーマに沿って自由に話し合う。 今週の対話のテーマは「商業施設について」だった。どれくらいの建物のスケールを商業施設と認識しているか、場所の居心地の良さや使いづらさは何によって決まるか、商業施設の中に設置してほしいものなど、いろいろな話題が出

「Making of Podcast」受講生のオリジナル番組を一挙紹介します!

大貫:本講座では全3回のカリキュラムを通して、15のオリジナル番組が出来上がりました。受講生は全員ポッドキャスト制作が初めてでしたが、その人の個性や番組の世界観がどれも際立っていますね。 鈴木:そうですね。それでは早速紹介していきたいと思います! パーソナルなメディアとしてのポッドキャスト鈴木:私が始めに紹介したいのは「きっとだれかのたからもの」です。声のトーンや話すスピード感から、とても親密でパーソナルな印象を受けました。おそらく、普段からわりとゆっくり話すような方だと