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本と編集の総合企業SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS(SPBS)の公式noteです。SPBSからのお知らせやスタッフのインタビュー、イベントやスクールのレビューを投稿します。

マガジン

  • SPBS編集部「本が読めない」

    出版する本屋・SPBSの編集部メンバーによる連載です。毎週金曜日更新(間に合わない日もあるかもしれない)。交代で自由にゆるゆると、誰に語るでもないひとりごとを呟きます。

  • SPBS THE SCHOOL

    SPBS THE SCHOOLは、あらゆるものごとを編集する企業・SPBSが主催し、“編集”を通して世の中を面白くする遊びと学びのラボラトリー(実験の場)です。

  • SPBSインタビュー

    SPBSの店舗や編集部のスタッフインタビューをまとめています。

  • イベントレポート

    これまでに開催したイベントやスクールのレポート記事をまとめています。

  • SPBS編集ワークショップ2023

    1冊の雑誌づくりを通して編集の醍醐味を体感する連続講座「SPBS編集ワークショップ 2023」の受講生によるレポートです。

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記事一覧

紫陽花の豆皿

幼い頃から人見知りで、いまでも知らない人とのコミュニケーションは得意ではない。特に店員さんに話しかけられると、とても居心地が悪い。 だが、いまでも心に残っている…

SPBS
5日前
7

水の音が聴こえる盛岡の街で

2時間10分だった。 東京駅を9時36分に出発し、はやぶさ13号に乗って11時46分に着いたのは盛岡駅だ。なんと言っても驚いたのは、東京駅から盛岡駅までの移動時間の短さ。最…

SPBS
2週間前
21

今、コーヒーショップをはじめるには。コーヒーの街・奥渋谷で学ぶ、店づくりの秘訣

カフェや、コンビニなど街中のさまざまな場所で提供され、手軽に日常に取り入れられるようになったコーヒー。 中でも良質なコーヒーにこだわったコーヒーショップや、小さ…

SPBS
2週間前
34

いつも心に中村慎森

先日、29歳の誕生日を迎えた。 誕生日や新年が訪れるたびに聞かれる質問の中で、いつも答えに窮するものがある。それが「抱負」だ。誕生日なら生まれた日、新年なら元日、…

SPBS
1か月前
17

『虎に翼』世代の女子たちが夢中になって読んでいた、昭和5年のお宝雑誌を発掘

今期の朝ドラ『虎に翼』が、とてもおもしろい。 さまざまな場面で苦労を強いられる、強いられてもそんなものだと思って気づくこともない女性の立場の弱さに「はて?」と立…

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1か月前
40

夏恒例! 浅草で本好きが踊り狂い、財布は軽くなった(BOOK MARKET記録)

夏の浅草の恒例、アノニマ・スタジオさん主催の「BOOK MARKET」。本のつくり手が集い、自慢の本たちをこれでもかと並べて紹介してくれる、本好きにとって見逃せないイベン…

SPBS
2か月前
15

いつの時代も憧憬の地となって

2022年のゴールデンウィークは、福島県を回ってみたいと考えた。結果からお伝えすると、東京駅から出発して新白河(白河)、郡山、会津若松、福島・飯山温泉、浪江町・双葉…

SPBS
2か月前
19

体系に回収されない言葉

編集の仕事をしていると、制作する誌面や記事において、文章の正確性や論理の整合性などをしっかりと確認しなければならない機会が多い。事実にそぐわない内容を盛り込んだ…

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3か月前
24

歌集の表現を自由に楽しむことで、自分を見つめ直す【歌集編集ワークショップ[第2期]企画者インタビュー:後編】

▼ 前編はこちら 歌集の表現の幅広さを学び、「自分の歌集」をつくる──講座で印象に残っているエピソードはありますか? 鈴木:第6回以降の回に講師としてご登壇いた…

SPBS
3か月前
23

自分一人だけの表現から、他者と生み出す一冊へ。【歌集編集ワークショップ[第2期] 企画者インタビュー:前編】

偶然からの挑戦──「歌集編集ワークショップ」を企画した背景を教えてください。 北村:僕も鈴木さんも短歌を詠んだり歌集を作ったりした経験はなくて、最近書店で歌集…

SPBS
3か月前
36

敗者に光が当たるとき──忘れられない銀メダル

 勝ち方を身につけることは、簡単ではない。けれども、それよりはるかに難しいのは、負け方、負けの受け入れ方ではないだろうか。  スポーツでも、選挙でも、勝敗がつく…

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4か月前
36

待ち時間

家から坂の麓に降りてちょっとだけ歩いたところに、踏切がある。   これが本当に鬱陶しくて、踏切が一度下りてしまうと、必ず3、4本ぐらい連続で電車が来る。おまけに最後…

SPBS
4か月前
35

自然と歴史への感銘。そして今を捉える。

1日のはじまりはロープウェーから その日は姫路駅や姫路城より北に位置している、書寫山圓教寺にロープウェーで向かうことから始まった。前日に姫路駅に着き、雨がぱらぱ…

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5か月前
54

AIが台頭する時代に、自分の頭と感覚だけを使って本屋を“たんけん”しよう──富士通インスピラボ×SPBS「せんしょのたんけん」

もはや親しい友人の電話番号も覚えていないし(スマホに登録されている)、来週の会議の予定も空では言えないし(ビジネスアプリに登録し、社内で共有されている)、おとと…

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5か月前
38

虎に翼を、私に言葉を。「自分を曲げない」ということ。

(ネタバレが含まれますので未視聴の方はご注意ください) NHK朝ドラ『虎に翼』に毎週毎朝、心を動かされている。 朝ドラに限らず、ドラマを観ながら、こんなに激しく感情…

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5か月前
39

自分に耳を傾け、自分の音を奏でる。ポッドキャスト制作講座

▼やまださんの振り返りレポートはこちら 「自分の存在を確かめられると同時に、どこかの誰かと繋がることができる(かもしれない)場所を作りたい。それも、顔が見えない…

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5か月前
18

紫陽花の豆皿

幼い頃から人見知りで、いまでも知らない人とのコミュニケーションは得意ではない。特に店員さんに話しかけられると、とても居心地が悪い。 だが、いまでも心に残っている店員さんとの会話がある。裏路地にひっそりと佇む、小さなアンティークショップに立ち寄った時のことだ。   軒先に並べられた箱の中に、紫陽花柄のシンプルな豆皿を見つけ、値段もかなり手頃だったので買うことにした。扉は開放されていて入りづらい雰囲気ではなかったが、所狭しと並べられた食器や骨董品の数々に圧倒されながらレジに持って

水の音が聴こえる盛岡の街で

2時間10分だった。 東京駅を9時36分に出発し、はやぶさ13号に乗って11時46分に着いたのは盛岡駅だ。なんと言っても驚いたのは、東京駅から盛岡駅までの移動時間の短さ。最速のダイヤだったようで、お昼前には盛岡駅の壁面に設置された、石川啄木の「もりおか」の文字を見ることができたのである。なんなら体感の乗車時間はもっと短かったように思う。 今回初めて盛岡に訪れたのだが(岩手県自体が初めて)、関東で暮らしている自分にとって東北地方、特に仙台より北はなんとなく「ものすごく遠い地

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今、コーヒーショップをはじめるには。コーヒーの街・奥渋谷で学ぶ、店づくりの秘訣

カフェや、コンビニなど街中のさまざまな場所で提供され、手軽に日常に取り入れられるようになったコーヒー。 中でも良質なコーヒーにこだわったコーヒーショップや、小さなスペースで営業するコーヒースタンドは、地域の憩いの場であり、雑談する場としても機能しています。 私たちSPBSも、2020年に豊洲店に新業態としてカフェラウンジをオープンして以来、本屋とはまた異なるお客さまとのコミュニケーションやつながりを実感してきました。 この度、本屋の学校・SPBS THE SCHOOLでは

いつも心に中村慎森

先日、29歳の誕生日を迎えた。 誕生日や新年が訪れるたびに聞かれる質問の中で、いつも答えに窮するものがある。それが「抱負」だ。誕生日なら生まれた日、新年なら元日、それぞれのタイミングで、「29歳の抱負はありますか?」「今年の抱負はありますか?」など、その年の決意や計画を表明することが迫られる。そして、誕生日や新年を機に何か新しい気持ちを持つという前提が、29年生きてきた今でもなかなか受け入れられずにいる。 日付を記号だと思っているため、年齢や元号が変化しても「数字が増えた

『虎に翼』世代の女子たちが夢中になって読んでいた、昭和5年のお宝雑誌を発掘

今期の朝ドラ『虎に翼』が、とてもおもしろい。 さまざまな場面で苦労を強いられる、強いられてもそんなものだと思って気づくこともない女性の立場の弱さに「はて?」と立ち止まって疑問を抱き、さまざまな困難を乗り越えながら、法を力に立ち向かう女性たちが、とてもかっこよい。かつては司法試験すら受けられなかった、裁判官にはなれなかった、育休制度もなかった、結婚すれば「無能力者」という立場だった“無数の彼女たち”の営みが積み重なっていまがあるのだと思うと、心から「ありがとう」と言いたくなる

夏恒例! 浅草で本好きが踊り狂い、財布は軽くなった(BOOK MARKET記録)

夏の浅草の恒例、アノニマ・スタジオさん主催の「BOOK MARKET」。本のつくり手が集い、自慢の本たちをこれでもかと並べて紹介してくれる、本好きにとって見逃せないイベントの一つだ。 2024年は7月20日・21日に実施され、1日目のお昼にお邪魔した。この場を借りて、今年買った本の一部を記録しておく。  ・エッセイ集 『犬ではないと言われた犬』(向坂くじら 著/百万年書房/2024年) 7月に刊行されたばかり。どうしたって素通りできないタイトル(犬好き)に惹かれて購入(

いつの時代も憧憬の地となって

2022年のゴールデンウィークは、福島県を回ってみたいと考えた。結果からお伝えすると、東京駅から出発して新白河(白河)、郡山、会津若松、福島・飯山温泉、浪江町・双葉町、いわき・湯本温泉を訪れることができた。 福島県に入ってからは、公共交通機関(主に電車)で移動したいと考えていたので、初めは東京から一番近い、福島県側の新幹線の駅を調べた。おのずと、最初の到着地は白河の街に決まった。 もちろん、経由地としてただ通り過ぎてしまうのはもったいないので、ぜひ観光しようとマップを見な

体系に回収されない言葉

編集の仕事をしていると、制作する誌面や記事において、文章の正確性や論理の整合性などをしっかりと確認しなければならない機会が多い。事実にそぐわない内容を盛り込んだ記事をつくったり、インタビューをした相手の本来の意図や心理とは異なる表現をしたりしてしまわないよう細心の注意をはらい、関係者とのできるだけ正確なコミュニケーションを心がけて意思疎通をはかる。 仕事でそのような正しい情報や論理の文章に触れていると、基本的に文章というものはそれしか許されないものなんじゃないかと思ってしま

歌集の表現を自由に楽しむことで、自分を見つめ直す【歌集編集ワークショップ[第2期]企画者インタビュー:後編】

▼ 前編はこちら 歌集の表現の幅広さを学び、「自分の歌集」をつくる──講座で印象に残っているエピソードはありますか? 鈴木:第6回以降の回に講師としてご登壇いただいた小島なおさんの講義です。小島さんはミニ歌集の編集者でありながら、一人の歌人として著者である受講生に寄り添う立場でも制作をサポートしていただきました。 第6回で「啓発本など誰かの知識の参考になる本を作るならまだしも、自分のポエムを本にして晒そうとする精神、皆さんシラフじゃ耐えられないでしょう?」と、笑顔でお話

自分一人だけの表現から、他者と生み出す一冊へ。【歌集編集ワークショップ[第2期] 企画者インタビュー:前編】

偶然からの挑戦──「歌集編集ワークショップ」を企画した背景を教えてください。 北村:僕も鈴木さんも短歌を詠んだり歌集を作ったりした経験はなくて、最近書店で歌集が盛り上がっていることを知っていたくらいでした。歌集の世界がどのようなものなのか、そこまで分かっていなかったんですよね。 「歌集編集ワークショップ」の企画は、2023年に実施した〈SPBS BOOKTALK FESTIVAL〉で、枡野浩一さん、穂村弘さん、くどうれいんさんをお招きした「ブックデザイン自慢合戦 〜考え

敗者に光が当たるとき──忘れられない銀メダル

 勝ち方を身につけることは、簡単ではない。けれども、それよりはるかに難しいのは、負け方、負けの受け入れ方ではないだろうか。  スポーツでも、選挙でも、勝敗がつくような戦いでは、勝てば達成感も得られるし、周囲からの祝福や称賛も受ける。勝つ者がいれば、必ずその反対側に、負ける者もいる。負けて悔しい目の前で、勝者が喜び、周囲が称える姿を見ることは、どんなにつらいことだろう。メディアが入る勝負ならばなおさらだ。負けて悔しい思いをしているときに、カメラを向けられてしまうのは、残酷なこ

待ち時間

家から坂の麓に降りてちょっとだけ歩いたところに、踏切がある。   これが本当に鬱陶しくて、踏切が一度下りてしまうと、必ず3、4本ぐらい連続で電車が来る。おまけに最後の1本に限って、ものすごく長くて遅い電車だったりするので、たちが悪い。 それでも、すぐ隣にある歩道橋を使うとなんだか負けた気持ちになるので、私はなるべく真っ向勝負をするようにしている。   高校生の頃、遅刻常習犯だった私は(今考えてみれば、8:20ホームルーム開始なんて早すぎて正気じゃない)ギリギリ間に合う時間に出

自然と歴史への感銘。そして今を捉える。

1日のはじまりはロープウェーから その日は姫路駅や姫路城より北に位置している、書寫山圓教寺にロープウェーで向かうことから始まった。前日に姫路駅に着き、雨がぱらぱらと降ったりやんだりする中、北口から凛としたその姿をのぞかせる白鷺の城まで一直線に進んだ。 今回の旅の目的は「姫路城」と「竹田城跡」である。竹田城跡は兵庫県朝来市にあり、雲海が見られることでも有名な史跡だ。大学時代からの友人とふたりで、数年前の年末に現地集合で旅行を計画した。 書寫山圓教寺に訪れることは、友人の提

AIが台頭する時代に、自分の頭と感覚だけを使って本屋を“たんけん”しよう──富士通インスピラボ×SPBS「せんしょのたんけん」

もはや親しい友人の電話番号も覚えていないし(スマホに登録されている)、来週の会議の予定も空では言えないし(ビジネスアプリに登録し、社内で共有されている)、おとといの夜ごはんが何だったかも思い出せない(特別なごはんならスマホの写真に残っているかもしれないけど)。新しい業務について下調べをするときは、ChatGPTが瞬時にそれらしく情報をまとめてくれる──。 私たちの記憶や思考やアウトプットする力はとてつもないスピードでAIに追い越され、デジタルデバイスなしの生活や仕事はもはや

虎に翼を、私に言葉を。「自分を曲げない」ということ。

(ネタバレが含まれますので未視聴の方はご注意ください) NHK朝ドラ『虎に翼』に毎週毎朝、心を動かされている。 朝ドラに限らず、ドラマを観ながら、こんなに激しく感情が揺さぶられるのは初めてだ。   個人的には『カムカムエヴリバディ』以来の朝ドラ。『虎に翼』も『カムカムエヴリバディ』と同じく、戦前から物語が始まる。 伊藤沙莉さん演じる主人公の猪爪寅子(いのつめ・ともこ)のモデルは、日本で女性として初めて弁護士になった、三淵嘉子(みぶち・よしこ)さん。   昭和初期はまだまだ、

自分に耳を傾け、自分の音を奏でる。ポッドキャスト制作講座

▼やまださんの振り返りレポートはこちら 「自分の存在を確かめられると同時に、どこかの誰かと繋がることができる(かもしれない)場所を作りたい。それも、顔が見えないけれど声は聴こえるという距離感で人と関わることができたら面白いかもしれない」 そんな気持ちで、勇気も自慢のネタもなかったけれど、全3回の講座で配信までしてしまうという勢いに乗って参加した。 第1回「企画する」第1回と第2回の午前中は、ゲスト講師に人気ポッドキャストのパーソナリティたちを迎え、番組の企画や編集をするこ