見出し画像

自分に耳を傾け、自分の音を奏でる。ポッドキャスト制作講座

SPBS THE SCHOOLでは、ポッドキャストの企画、編集、演出をプロから学びながら、自分たちのオリジナルの番組を制作する講座「Making of Podcast」を開講しました。
全3回の講座終了後、アシスタント受講生としてご参加いただいたやまださんと柳原さんに、それぞれの視点で講座の模様をレポートしてもらいました。本記事では、柳原さんの振り返りレポートをお届けいたします!

▼やまださんの振り返りレポートはこちら


「自分の存在を確かめられると同時に、どこかの誰かと繋がることができる(かもしれない)場所を作りたい。それも、顔が見えないけれど声は聴こえるという距離感で人と関わることができたら面白いかもしれない」
そんな気持ちで、勇気も自慢のネタもなかったけれど、全3回の講座で配信までしてしまうという勢いに乗って参加した。

第1回「企画する」

第1回と第2回の午前中は、ゲスト講師に人気ポッドキャストのパーソナリティたちを迎え、番組の企画や編集をすることについての講義が行われた。
 
第1回のゲストは、「味な副音声」の平野紗季子さん、そして「ゆる言語学ラジオ」でお馴染みの水野太貴さん。ジャパンポッドキャストアワードの受賞経験があるお二人!

Making of Podcast 第1回の様子 (左)水野太貴さん (右)平野紗季子さん

食と言語学、全く違うフィールドではあるけれど、お二人とも好きを語る人だという印象を受けた。お二人の熱量に惹かれつつ、「私はそこまでの熱を持っているだろうか」「番組を作るに値するだろうか」と不安になった。それでも、ここでしか聞けないであろう人気番組制作の裏側は、目から鱗の連続だった。

午後は、ラジオやポッドキャスト番組の制作に携わる大村博史さん、藤山のぞみさんと一緒に企画案を練る。今すぐ聴きたいと思うような面白い企画が並ぶ中、私はまだ企画メモの段階で、自分の番組にますます自信がなくなっていく…。しかし、お二人のアドバイスによって受講生全員の企画がブラッシュアップされていく様子を見ると、どれが一番などではなく、それぞれの面白さがあるのだと実感できた。自分らしさが面白さだとしたら、「私の自分らしさとはなんだろう?」と自分に問いかける。

番組制作のための企画メモ

「10個くらい企画を考えられるものなら続けやすいのではないか」という水野さんのアドバイスをもとに企画案を練り直し、少し自信がついた私は、その勢いで「えいっ!」と録音してみた。これがとても大事だった! そしてとても楽しかった!!! 締め切りに追われながらも、どこかで同じように頑張っているであろう受講生の仲間たちの存在に背中を押されつつ。


第2回「編集する」

第2回のゲストは、「となりの雑談」の桜林直子さんと、「夜ふかしの読み明かし」の永井玲衣さん。こちらのお二人は、まず、きく人という印象を受けた。どちらも対話型の番組を配信している。無理な共感はせず、他者との違いを楽しむお二人の姿勢が印象的だった。

Making of Podcast 第2回の様子 (左)永井玲衣さん (右)桜林直子さん

発信するなら上手に伝えなければと思うのは、きっと私だけではないだろう。永井さんは、「考えをクリアな言葉で話すことと伝えようとすることは別のもの」「まとまらない言葉を伝えようとするという姿勢が重要」と言う。

また、「ネタが尽きたらどうしよう」という悩みに対しては、お二人とも自分の興味関心をベースにすることが前提にあり、「『コンテンツの何かを摂取した時の好き』だけが好きではない」と桜林さん、「好きとは『自分の中でどういう姿勢を大事にしたいか』ではないか」と永井さんは言った。この他にも、自分や他者との対話におけるヒントと勇気をいくつも授けてもらった。

午後は、大村さんと藤山さんによる音声編集のワークショップ。実際に使っている編集ソフトを直接見せてもらった。まさかみんなで、それも会場のスピーカーを通して聴くとは思わず、ハラハラどきどき。やっぱり面白い番組ばかりで、自分の番組が恥ずかしくなった。それでも勇気を出して良かったなと思うのは、自分の番組の良いところを見つけてもらえたから。こうして励まされ、少し良い気になった(笑)。さらに、他の受講生に対するアドバイスも、自分が今回偶然ぶつからなかっただけで今後ぶつかるかもしれない壁(と言っては大袈裟かもしれないが)として学ぶことができた。

Making of Podcast 第2回 受講生が録音した音源を編集している様子

次回の課題は、自分の作品に合わせて音楽を選ぶこと。パソコンとスマホの二刀流で、一方からは音楽を、もう一方からは自分の声を流す。雰囲気はもちろんリズムがマッチしているかを意識して、自分の声を体で感じるという初めての体験は楽しかった。


第3回「演出する」

第3回は、ナビゲーターのお二人と一緒にこれまでたくさんの番組制作に携わってきた加藤海陸さんをお迎えした。自分のタイトルコールに素敵な演出を施してもらったが、なんと私の声のイメージから作ったのだと言う。加藤さんの経験や感性による部分も大きいとは思うが、自分の声から何かが滲み出ているのだという驚きと、単純に声を聴いてもらえることの嬉しさを感じた。

Making of Podcast 第3回の様子 加藤海陸さん

続いて、大村さんと藤山さんに番組本編を演出してもらう。受講生は演出用の音源を同じ選択肢の中から選んだ。全く同じ音源を選んでも全く違う演出ができるので、一つとして同じ聴こえ方にはならないことに感動した。

お三方による演出の過程を通して、演出とは修正ではなく、すでにあるものを最大限に活かすこと、そのためにいかに聴くかが大事だということを学んだ。これまでの経験を踏まえたテクニックやアイデアを余すことなく共有してくださった上で、それでも絶対的な正解はなく、一番大事なのは自分のイメージであると強調し、それぞれの好みや世界観を尊重する姿勢が印象的だった。

この時点では配信をしていないので、厳密にはまだ終わっていないけれど、「全3回で本当に番組ができてしまった!」という達成感があった。それに、「2つ目のエピソードをとりあえず録音してみようか? 次は自分で編集もしてみたい!」なんて、自分でもびっくりするほど前向きになっていた。


全3回の講座を終えて

講座は終わったが、これからもこの講座が自分の拠り所として存在し続けてくれる予感がしている。大袈裟ではなく、世界の見方も、聴き方も(?)変わったし、確かに1エピソード制作したという経験もある。(たかが一回、されど一回!)そして、受講生の仲間の存在も刺激になっている。(現に、アーカイブ受講生の一人がすでに配信を始めたと聞いた!!!)

ポッドキャストの表現の場は、想像以上に自由で、開かれていると感じた。最初は怖いかもしれないけれど、それを超える面白さがある。そう実感したからこそ、これからの自分の発信活動が楽しみだし、これを読んでいるあなたのポッドキャスト番組も、是非とも聴いてみたいと思う!

アシスタント受講生 柳原実和


ポッドキャストの企画・編集・演出を学び、自分の番組をつくる教室。「SPBS THE SCHOOL Making of Podcast」アーカイブ視聴コースの受講生を募集中です。


▼「Making of Podcast」企画担当者(SPBS THE SCHOOL)による、受講生が制作したオリジナル番組を紹介した記事はこちら