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SPBSインタビュー

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SPBSの店舗や編集部のスタッフインタビューをまとめています。
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#講座

「書く」の手前にある「聞く」に意識を向けながら、これからの批評を考える。【批評ワークショップ企画者インタビュー:後編】

▼ 前編はこちら あやふやな対話の効用──ゲスト選定や講座の運営で意識したことはありましたか。 加藤:批評活動の最前線で活躍されているゲストの8名は、ナビゲーターの水上さんからアドバイスをいただきながら決めました。その中でも、クィア批評やフェミニズム批評の観点から研究を行ったり、ものを書いたりしている人たちをお呼びしたことは特に意識したところでもあります。昔から存在していたにもかかわらず「メインではない」「マジョリティではない」とラベリングされたものについて、改めて学ぶ機

誰もが批評を手に取ることができる文化をつくるために。【批評ワークショップ企画者インタビュー:前編】

これまでの批評が取りこぼしてきたもの──加藤さんは昔から批評に触れていたのでしょうか。 加藤:学生の頃から、映画や演劇、漫画、アニメなどを対象としたものを中心に批評に触れていましたが、実は途中からあまり楽しめなくなって離れてしまった時期がありました。当時はいわゆる「ゼロ年代批評」と呼ばれるものの勢いが強かったのですが、そうした批評を中心として、当時の批評にどこか閉鎖的なムードを感じていたからだと思います。 例えば、西洋の思想家による批評的な視座や言葉を集めて、いかに複雑

【企画担当者に聞く!】「知る」で終わらない。農園フィールドワークで得たこと。「おいしいってなんだ?」の真髄

本屋が「食」の講座をする理由 ──SPBSは本屋や出版を生業にしている会社ですが、なぜ、農園フィールドワークを講座にしようと思ったのですか? 鈴木:私たちは、本屋だから、「読書はいいですよ、大事ですよ」って言うんですが、世の中に情報はたくさん溢れていて、とても全部消化はしきれないですよね。「知る」だけなら、本すら読まなくても、AIがうまくまとめてくれた情報だけでいいかもしれない。一方で、そもそも人間が、実際に生きるという行為にインストールできる知識はそう多くはないんだろう

【企画担当者に聞く!】「選書」は学びの宝庫!SPBSがナビゲートする、本の世界の歩き方。

「選書」とはどんな仕事なのか ──今回の講座「選書のたんけん」とは、どんな講座ですか? 工藤:簡単にいうと、SPBSが本を取り扱う各店舗やブックディレクションの仕事で普段やっていること、つまり本を選んで、本棚に並べて、お客さまに届ける、という一連の仕事において、特に「選ぶ」ことを中心にしつつ全体的に体験してもらう講座です。 日頃からよく『SPBSってどうやって本を選んでるんですか?』と聞かれることがあるので、それをそのまま講座のテーマにしてみました。 ──そもそも「選書