「編集とは、相手への配慮のこと」──SPBS広報・丸美月さんに訊く “つながり”の話
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──広報と兼任している編集の仕事についても聞かせてください。SPBSでの編集業務では主にどのようなことをしているのですか?
丸:私が担当しているのは、クライアントのオウンドメィアの記事編集やビジュアルづくりが多いです。今〈CBDAYS MOMENT〉というCBD*ブランドのオウンドメディアの記事制作に携わっていますが、もともとはSPBS TORANOMONの店長が店舗でのお取引相手としてお声がけし、SPBSに編集部があることを話したことがきっかけで、今回のお仕事のご相談をいただいたんです。
──入口として店舗があり、そこから編集の仕事につながったんですね。
丸:編集といってもさまざまな仕事がありますが、店舗もSPBSの「編集力」で具現化したものと捉えれば、クライアント側もSPBSが生み出すものをイメージしやすいように思います。本や雑誌を選ぶ力があり、雑貨を選ぶ力もあって、イベントも企画できる。それぞれの店舗が存在することによって、そうしたことが多くの人たちに伝わっているのかなと思いますね。
──なるほど。今後、やってみたい編集の仕事はありますか。
丸:編集と広報の2つを組み合わせた提案を増やしていきたいです。例えば、SPBS本店の向かいの〈style department(スタイルデパートメント)〉さんのオープン記念で制作した奥渋谷のマップは、印刷物の制作という編集的部分と、街とのつながりを生かした広報的部分が組み合わさっていたと思います。
──丸さんは「編集」という言葉をどのように捉えているのですか。
丸:このnoteのインタビューで、SPBS本店の前店長が「編集とは、人を思いやること」と話していて、その言葉にハッとしました。私が思う編集も、相手への配慮のようなイメージがあるんです。編集物を制作していくために、ライターさんや写真家さんやデザイナーさんがいて、その人たちが抱えるスケジュールや、進行管理などの負担をどこまで軽くできるか。その人たちが持っているスキルを最大限発揮してもらうために、それ以外の部分をいかに減らせるか。“編集アシスタント”っぽい考え方かもしれないですが、それが私にとっての「編集」なんですよね。
──相手への配慮。そうした考えを持って、編集と広報業務を行なっている丸さんから見て、SPBSはどんな会社ですか?
丸:飽きない会社だな、と思います。前編でメルマガを隔週で配信していると話しましたが、毎回新しい情報があって、正直入りきらないんです(笑)。社員やスタッフは本当に買い物や読書が好きだし、コンテンツに詳しいし、仕事はもちろん大変な部分も多いですが、どの仕事も面白がりながら取り組める人が集まっている会社ではないでしょうか。
──入社4年目の丸さんから見て、会社としてのSPBSの変化を感じることはありますか?
丸:2019年に+SPBS、2020年にはSPBS TORANOMONとSPBS TOYOSUがオープンしスタッフも増えたことで、店舗や部署ごとのキャラクターの違いが出て、面白いなと思っているところです。最近はスタッフが店舗を横断して働いていたり、店舗スタッフが編集案件を手伝ったり、編集したものが店舗のイベントにつながったりするなど、以前よりも部署を超えた連携も活発になっています。
──丸さん自身の変化もあれば教えてください。
丸:今の上司になってから特に、目標を立てる→振り返るというリズムが定着し、仕事の成果につながっていると感じています。今思うと、入社当時は何となくの予想でしかなかったんです。「こうすると良くなると思う……」みたいな。だけど今は、「前月はこう推移してきたので、今月の目標・行動計画はこれ」と、しっかりと理由付けができるようになりました。仕事の基本ではあるのですが、この“目標を立てる→振り返る”サイクルを意識して行うようになってから、店舗のSNSの管理の仕方や、自分自身の仕事への姿勢もアップデートされたと思います。
──最後に、これからの展望や、やってみたいことはありますか?
丸:SPBSのお客さまとつながる場づくりをしてみたいなと思っています。個人的な話になりますが、約1年前から、デザイナーと編集者の友人3人で2カ月に一度読書会を開催しています。そこでは、本の内容をもとに考えたことを共有するのですが、日々の生活の中で見過ごしてしまうこと、例えば「自分のことってどうケアしている?」みたいな話題もあって、それがすごく新鮮で大事な時間になっています。
SPBSでは、日々の店舗運営やイベントや、長期講座を開催している〈SPBS THE SCHOOL〉でお客さまとコミュニケーションを取ることはありますが、読書会のようにもう少しゆるく、気軽につながれる場があるといいなと思っています。