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「いつも違うことが起きている状態が好き」──SPBS広報・丸美月さんに訊く、仕事への向き合い方の話

SPBSの広報として、店舗やサービス、イベント等のPRを一手に担当している丸美月さん。学生時代から活発にさまざまな部活動やアルバイトに取り組み、SPBSにインターンとして加入。その後、編集者・加藤直徳さんのアシスタントとして『ATLANTIS zine』の制作に携わることに。前編では、学生時代のことや加藤さんのアシスタントとして学んだ“編集”について、そしてSPBS広報担当になるまでを振り返ります。──広報と編集を兼任する丸さんの連続インタビュー前編。


──丸さんは学生時代、どのようなことをしていたのですか?
 
丸:小中学生のときは水泳やテニスを習い、高校ではダンス部に入っていたので、ずっと体育会系でした。でも高校3年生のときに親にカメラを買ってもらったことを機に、写真に興味を持ち、大学で初めて文化系の写真部に入部。部員には音楽や映画や本に詳しい人がたくさんいて、もっと知りたい、話してみたいと思ったんです。
 
──多彩な部活動ですね!
 
丸:いろいろなことに興味を持ちやすいんだと思います。大学では他にも、学内で配布されるフリーペーパーを制作するマスコミ研究会にも入りました。写真も撮っていたし、文章を書くのも好きだったので、その両方ができると考えましたね。
 
アルバイトは飲食店や和菓子屋、本も扱う家電量販店などを経験しました。家電量販店では本の担当を希望していたのですが、カメラのチームに配属されたため、改めて本屋さんで働いてみたいなと思い立ち、SPBS本店のアルバイトに応募しました。
 
──アルバイトも豊富に経験しているんですね。しかも、ここでSPBSにつながるとは!
 
丸:結果的には希望していたアルバイトではなく、インターンとして採用されて。イベント運営を手伝ったり、会場の写真を撮ったりしていました。
 
SPBSの第一印象は写真部に入ったときと似ていて、インターンの同期や店舗スタッフの趣味や好きなものに対する執着の仕方や、豊富な知識量に圧倒されましたね。今でも仲の良い友だちがいるので、インターンに参加できたのは貴重な機会でした。
 
──インターンはどれくらい続けたんですか?
 
丸:実はSPBSに入って半年後に、当時インターンを担当してくれていたマネージャーから「雑誌『TRANSIT』の元編集長・加藤直徳さんがアシスタントを探しているけど、丸さん興味ありますか?」と連絡をもらいました。将来のことはあまり考えていなかったですが、編集の現場を経験してみたいと思い面接へ。それからはSPBSのインターンと並行して、加藤さんのもとで『ATLANTIS zine』の制作に携わることになりました。
 
▼『ATLANTIS zine』完結記念インタビュー。「読者は世界中にいるから、信じてつくり続けるだけ」編集長・加藤直徳さん


──加藤さんのアシスタントをされて得られたことを教えてください。
 
丸:そうですね。例えば私が書いた文章に加藤さんが赤字を入れるとき、ただ直さずに「こう書いてみたら」とコメントを入れてくれるんです。その赤字がすごく分かりやすくて、言われた通りに直すだけではなく自分で改めて考えられたのは、勉強になりました。
 
リサーチもインターネットだけじゃなく、図書館などで借りてきた書籍など多方面から調べる。今となっては当たり前ですが、右も左も分からなかった私には、たった一行を書くためだけのその執着の仕方がすごく為になりましたね。『ATLANTIS zine』はSPBSが版元となり、雑誌『ATLANTIS』ができるまでの過程をまとめる全6冊のzineだったのですが、コンセプトやタイトルを決める、レイアウトを考える、デザイナーさんとの打ち合わせなど、雑誌づくりの基礎を一つひとつ学ばせてもらいました。
 
──加藤さんのアシスタントと時期を同じくして、就職活動のタイミングだったと思うのですが、当時はどのようなことを考えていたんですか?
 
丸:出版社を中心に就活をしていましたが、なかなか思うように進まず……。その時期にSPBSで『ATLANTIS zine』が6号まで出版され、それらを土台とした本誌『ATLANTIS』の創刊準備ともちょうど被っていて。ここまできたら完成まで関わりたいじゃないですか。それで会社(『ATLANTIS』の版元であるデザイン事務所・BOOTLEG)にお願いをして、アルバイトから社員になる形で新卒入社をしました。
 
──なるほど。でも、社会人2年目にはSPBSに入社していますよね?
 
丸:はい。『ATLANTIS』の創刊号が出た後、いろいろな事情で2号目を制作するのが難しくなってしまい、新しい仕事を探していました。そこでSPBSインターン時代のマネージャーに連絡してみたところ、ちょうどSPBSの広報担当者が退職したタイミングだったんです。そこで広報兼編集として面接を受けることになりました。
 
──おお、SPBSに戻ってきたんですね。今度は広報として。
 
丸:そうなりますね。広報にはキラキラしたイメージがあって、私に務まるかなとも思ったのですが、やってみたいという気持ちの方が勝っていました。新入社員ではありましたが、インターンで慣れ親しんでいたこともあって、環境としてはなじみやすかったです。
 
──これまでの広報業務で、印象的なものは何ですか?
 
丸:私が入社した年に+SPBSのオープンがあり、そのための膨大なPR活動が記憶に強く残っています。その翌年に、SPBS TORANOMONとSPBS TOYOSUのリリースを控えていて、バタバタしたのを覚えていますが、私にとって一つの節目となりました。
 
──そもそもSPBSの広報って、どういうことをしているんですか?
 
丸:隔週のメールマガジンの配信、営業時間やフェアの情報など自社ウェブサイトの更新、イベントやワークショップの告知、月に1回の各店舗とのミーティング、SPBSへの撮影・取材対応などがありますね。
 
ウェブサイトやSNSなどは、店舗やサービスが多いので常に最新の情報にするために、定期的に全体をチェックしています。SPBSへの取材対応も、私が窓口となって、各店の店長や代表、本の選書は各店のスタッフなど、適切な人たちへ振り分けています。
 
広報の仕事全般に言えることですが、SNSや取材対応などは、そこでの発信が実際にどのくらい効果があったものなのか測りづらく目に見えません。特にSNSは、取り組もうと思えばいくらでも労力をかけられるものなので、何を目指すのか、効果はどれくらいなのかといったことが捉えづらく、難しいなと感じているところです。
 
──丸さんにとって、広報業務のモチベーションは何でしょう。
 
丸:私は基本、飽きやすい性格だなと思っているのですが、この仕事が3年続けられているのは、ある意味決まった仕事がないことなのかなと感じています。店舗が違えば実施するフェアや販売する商品も異なりますし、取材に来る人も毎回違います。店舗は常に変化するものであり、みんないろいろな企画を考えて実行する。それをサポートするという点でも、いつも違うことが起こっている状態が、私は好きなんだと思います。
 
──そうした業務の特徴がある中で、気を付けていることや、意識したり工夫したりしていることがあれば、教えてください。
 
丸:気を付けていることは、偏らないようにすることですね。広報業務をしているとなりがちだなと思うのは、自分の興味関心に引っ張られてしまうこと。業務量としても、自分の熱量としても、フラットに見てPRが足りない部分を補っていく必要があります。なので、それが好きだからといって自分の好みに偏らないよう気を付けていて、3年経ってようやくバランスが取れるようになってきたかなと思います。

(つづく)

丸 美月(まる・みつき)さん
1996年生まれ。大学在学時にSPBSのインターンとして勤務し、イベント運営のサポートを行う。編集者・加藤直徳さんのアシスタントとして『ATLANTIS zine』『ATLANTIS』の編集に携わった後、2019年5月、広報兼編集としてSPBSに入社。HPの管理や店舗の告知サポート、イベント・ワークショップのPR、取材対応などを担当する。


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