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「書店、イベント企画、編集、広報を経験し、経理になった」──SPBSの経営の中枢を担う神垣誠さんだけが知る、SPBSの歩み

現在SPBSのバックオフィス全体を統括し、代表・福井のサポートも行っている神垣誠さん。大学在学時に応募したSPBSのインターンから入社したという経歴の持ち主です。前編では、神垣さんの学生時代からSPBSとの出会い、さまざまな業務を経験する中で生まれてきた葛藤や思いに焦点を当てていきます。──神垣さんとSPBSとの出会いと、仕事にかける情熱に触れる連続インタビュー前編。


──神垣さんの学生時代のお話から聞かせてください。

神垣:中学・高校と通っていた男子校は生徒の自主性に任せる方針で、学校行事でも生徒が率先して動いたり、お金の管理をしたりして、早い段階で社会を学んだような気がします。先生たちも手取り足取り教えるわけではないので、しっかりと自立しないといけないと感じていましたね。部活は漫画『スラムダンク』の影響で、バスケットボール部に。中高6年間はほとんど毎日始発で朝練に行き、昼休みも放課後もバスケ。没頭していました。

──高校卒業後は?

神垣:中学・高校生活をバスケに思いきり費やしたので、集中して勉強するために1年浪人しました。本当にすごく自由な学校で、「勉強しなさい!」と強制されることもなかったので、みんな自分の好きなことに打ち込んでいました。そのせいか、僕の周りも浪人する人が多かったです(笑)

浪人した友人何人かと「せっかくなら東大を目指そう」と決めて、ものすごく勉強しました。あのときほど集中して勉強にのめり込んだことはありません。でも、僕だけ予備校の場所が別で(笑)。さすがに全員合格とはなりませんでしたが、幸いにも自分は合格できました。

──すごい。それでは大学でも勉強三昧?

神垣:それが、入学した時点で燃え尽きてしまって……。大学生活は楽しかったのですが、ダラダラと毎日が過ぎて行き、そのまま就活期間に突入。動きの速い周りの人たちについていけないスロースターターでした。

小学生の頃から本を読む習慣があり、大学生のときも小説を中心に幅広く読んでいたので、本やエンタメに関わる仕事ができたらいいなと思い、出版社やテレビ局などの面接を受けることにしました。ただ、なかなか採用には至らなかったので、まずは出版業界や本のことについて知ろうと思い、本屋や出版社のインターンやアルバイト募集を調べました。そこで、SPBSがヒットしたんです。

──ここでSPBSとの出会いがあったんですね。

神垣:そうなんです。特にSPBSは、ホームページを見ておしゃれだなと思った以上に、出版や編集業を営みながら書店を構えていることが、僕にとっては大きかった。出版・編集と書店、どちらのことも詳しくなれそうだなと感じて、インターンの面接を受けました。

──そうして、SPBSでの勤務が始まったんですね。実際に、インターンではどのようなことをしたのですか。

神垣:最初は書店業務からでした。当時の本店店長の三田修平さん(現BOOK TRUCK店主)のもとで、電話番から検品や客注(取り寄せ)などの書店業務の補助と、イベント開催時のお手伝いが主な仕事でした。

少し経ってからは、とにかく何でも自分の経験になればと思い、「こういった企画があるのですが、手伝っていただける方いませんか?」とあれば、常に「ハイッ!」と手を挙げて立候補していました。ほとんどの企画に手を挙げていたんですよ(笑)

そうやって手を挙げ続けていたら、「シェアザブック*」という企画のサブ担当を任せてもらえることになったんです。お客さんが持参した古本に帯を貼ったり、棚組みを替えたりして、毎日写真を撮ってFacebookに投稿したりしていました。インターンを始めて2カ月ぐらい経った頃でした。

※シェアザブック:参加者は古本を持ち込み、その本への思いやおすすめのポイントなどをメッセージカードに記入。本への思いを乗せて次の人へ渡す企画。SPBSで古本の収集、販売を行っていた。

──早い段階から、いろいろな業務に携わっていたのですね。

神垣:インターンとしての仕事だけでなく、ほかの業務も任せてもらえるようになっていたので、ほぼ毎日SPBSに来ていました。そうこうしているうちに、代表の福井から「来年から一緒にSPBSで働きませんか?」と声をかけてもらい、SPBSに入社しました。

──入社してからはどんな業務を?

神垣:代表の編集アシスタントとして編集や出版の仕事にも携わるようになりました。彼は手取り足取り教えるタイプではないので、見て学ばなきゃいけない。まずは、真似するところから始めました。いま仕事をする中で、連絡の仕方やメールの返し方、進行管理など、代表から学んだことが土台になっていることは多いです。

編集アシスタントとして情報誌や企業ウェブサイトのコンテンツ制作に携わるようになり、慌ただしくも充実した日々を送っていました。自分の性格上、任されたことはとことん突き詰めたいタイプなので、毎日コツコツと作業に取り組んでいたと思います。

僕が入社して1年経ったときに代表から、「経理とか総務の仕事をやってみないか?」と打診されたんです。まめに仕事をしているのが、経理・総務に合っているのでは、と思われたのかもしれません。

──編集から経理・総務に。とまどいはなかったですか?

神垣:約1カ月間、ものすごく悩みました。もともとは出版社で仕事をしたいと思っていたし、一人で編集の仕事を任せてもらえるようにもなっていた時期だったので。一人前ではなかったですが、編集者としてのやりがいを実感していました。出版・編集と書店の2軸を持つSPBSで、経理・総務の仕事をすることは、僕のイメージとは違っていたんです。

でも僕自身、父が転勤の多い家系に育ったので、会社員であれば異動はあり得る話だろうと考え、とりあえずやってみるかと思うようになりました。それに経理・総務を充実させないと、成長過程でもあったSPBSが行き詰まるのではないかと感じ、打診を受けることにしたんです。それからはすぐに切り替えて、経理・総務の仕事に携わるようになり、組織全体を司る大変さと面白さを感じるようになりました。

(つづく)

神垣 誠(かみがき・まこと)さん
1988年生まれ。大学在学時にSPBSのインターンに応募する。書店業務のサポートからイベント企画やワークショップ開催時の運営、SPBS本店での撮影・取材対応、各店舗での店頭業務などを経験。2013年、SPBSに入社し、代表・福井のアシスタントとして出版・編集業務に携わる。2015年より現職である、経理・総務などバックオフィス業務を主に担当し、現在は代表・福井のサポートも行う。

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