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SPBSスタッフが選ぶ、2020年の本──年末のごあいさつに代えて


こんにちは。SPBS広報の丸です。

11月にnoteを初めて早1ヵ月。フォローやスキの通知を大変うれしく拝見しています。ありがとうございます。今回は年末のごあいさつに代えて、SPBSのスタッフが2020年に読んだベスト本をご紹介したいと思います。

個人的には今年、在宅勤務が増えて通勤時間が少なくなったり、外出が減ったりしたことで、朝や業務終了後に自宅で落ち着いて本を読む余裕が生まれました。朝日に照らされて読書をする時間の尊さなんて、以前は見逃していたように思います。

皆さんは今年、どんな本に出会いましたか? どんな読書時間を過ごしましたか? ご自身で振り返りながら、ご一読いただければ幸いです。

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『フライデー・ブラック』ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー 著/押野素子 訳(駒草出版)

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ガーナをルーツに持つNY出身の作家のデビュー短編集。今のアメリカに住むアフリカン・アメリカンの置かれた複雑な状況やメンタリティーを、虚構と現実がシームレスにつながるマジックリアリズム的な手法で描いた怪作。この本を読んだ直後にBlack Lives Matterの運動が起こり、どんなメディアよりも小説が現実を映し出すことがあることを知って、この本を選びました。(BOOKS事業部マネージャー K)

『新装版・長田弘詩集』長田 弘 著(角川春樹事務所)

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『長田弘詩集』は、詩人・長田弘さんによる七十九篇の詩を収めた詩集。「今日、あなたは空を見上げましたか。」という、シンプルな問いかけから始まるこの詩をゆっくりと読んでいると、何もかもが一変してしまったような世界にも、変わらずに寄り添ってくれているものがあるのだということに気付かされます。今年出た本ではないのですが、お店の休業期間中、どうにも落ち着かない日々を過ごしていたとき、そっと手を差し伸べてくれた大切な一冊です。(SPBS本店店長 K)

『モード後の世界』栗野宏文 著(扶桑社)

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UNITED ARROWSの上級顧問クリエイティブ・ディレクション担当、栗野宏文さん初の著書。コロナウイルスの影響で一変してしまった暮らし。その中で何が優先されるのか……。外出が制限される中、衣食住におけるファッションとしての「衣」の役割とは何なのかを考えているときに読んだ本です。「着ることは生きることだから。着ることは自己の確認や他者の認識、相互のコミュニケーションを深め、理解を促すものだから。着ることは人間の尊厳に関わるものだから。」という著者の言葉に、服バカの僕は救われました。(SPBS TORANOMON店長 K)

『ファイアー』長谷川集平 著(理論社)

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『はせがわくんきらいや』などの個性的な作品で知られる絵本作家5年ぶりの新作。テロ、震災、水害、コロナ……。インターネットの普及により、身体で感じるよりもずっと早く、ずっと多くの情報を見聞きすることが当たり前になった私たち。この絵本で描かれる駅向こうの火事を見ているときの不安とも安堵ともつかない感情を実生活でも覚え、どう対処すべきかわからなくなります。不思議なざわめきに始まる冒頭から、ドキッとさせられるような余韻を残すラストまで、まるで一本の映画のような読み応えのある作品。是非、親子で読んでいただきたい一冊です。(SPBS TOYOSU副店長 K)

『日々是好日』森下典子 著(新潮文庫)

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「普段、どんな本を読んでいるの?」と聞かれ、思い返してみると読んでいたのは「本」というより「資料」ばかりだったと気づいて愕然とした2019年。そこで2020年は、寝る前に少しずつエッセイや小説を読むことにしました。素敵な本はたくさんありましたが、こんなご時世だからこそ一層心に沁みたのがこちら。筆者がお茶の稽古を始めてから25年間、お茶を通して学んだことや気づいたことなどを綴った全15章のエッセイです。ひとつの所作、ひとつの言葉、一輪の花、雨の音、炭の匂い……。五感を研ぎ澄ますと見えてくる、日々の暮らしの中にあふれる愛おしさ。読み進めるうちに心の茶碗に小さな気づきが一滴ずつ溜まっていきます。私は13章で、それが一杯になってあふれ出し、気づいたら泣いていました。(編集部 F)

『消えそうな光を抱えて歩き続ける人へ』安達茉莉子 著(ビーナイス)

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天と地をつくった神が、次に世界に最初にもたらしたものは「光」でした。「明けない夜はない」という言葉の空虚さを感じる日々ですが、そんな日々の中でも、光や言葉や、大切な記憶はずっと私たちのそばにあるのだと、安達茉莉子さんの作品たちは教えてくれます。2020年の秋にこのZINEに出会えたことは、私にとって意味深い出来事でした。(編集部 S)

『ワイルドサイドをほっつき歩け——ハマータウンのおっさんたち』ブレイディみかこ 著(筑摩書房)

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階級社会やEU離脱投票、若者の思考とのギャップに対して、イギリス労働者階級の「おっさん」(と時々おばさん)たちが日々奮闘するエッセイ集。本書の〈はじめに〉で「おっさんは世界のサタンになったのかというような責め方ではないか」と表現されるように、日本を含め世界中で、やっかいな存在とされることが多い「おっさん」。そんな彼らにも、信念があり、生き様があり、恋があり、別れがある。色の濃い人生をそれぞれの歩幅で進む様子が、著者・ブレイディみかこさんの鋭いタッチで生き生きと描き出されています。(編集部 K)

『銀河の片隅で科学夜話』全 卓樹 著(朝日出版社)

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「科学なんておさらばだ」と思った高校時代から10年以上が経ちました。あの頃大の苦手だった「科学」や「物理」の世界で何が起きているのか、今頃気になりSPBSの店頭で手に取った書籍がこちら。理論物理学者である著者が科学の面白さの核心を伝えたくて執筆した“雑多“な科学エッセイです。読めば読むほど、遠い宇宙や科学が目の前に落ちてくるような感覚を得つつ、同時にその遠さや深さを感じ途方に暮れるような気もしました。毎話、最後の段落の言葉にぐっと心を掴まれて、珍しく一気読みした一冊です。(スクール事業部 M)

『発酵文化人類学』小倉ヒラク 著(木楽舎)

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人間と自然は不可分であることを体感した1年、改めて読み込んだのがこちら。微生物の視点から社会の成り立ちを考察する本書では、ミクロ・マクロというスケール、伝統・テクノロジーという時間軸のボーダーを軽々と超え、目に見えない存在、“微生物“と人との関係性を紐解いていきます。発酵の世界では「コンタミネーション」といって“予期せぬ汚染を恐れない“という考え方があるのだそう。エラーと捉えるのか、はたまた新たな可能性の発端として捉えるのか。社会の変化の中でしなやかに生きていくために発酵の文化から学ぶことは多いのかもしれません。『都市のイメージ』K.リンチ著(岩波書店)と合わせて読むのがおすすめです。(スクール事業部 N)

『A子さんの恋人7』近藤聡乃 著(KADOKAWA)

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漫画『A子さんの恋人』が今年完結。主人公で漫画家のA子と大学時代に美大で知り合ったA太郎と同級生たちが、29歳から30歳を迎えるまでの1年間が繊細に描かれています。A子の中で未完に終わっていたデビュー作を描き直す作業を通して、これまで曖昧にしてきた決断への答えを明らかにしていく──A or Bのように単純ではない人生の決断をする過程は、第三者(読者)としてではなく、自分自身または自分のそばにいる人のライフストーリーを覗くようなリアルさがありました。「身軽で 人より速くとか 人より遠くまでとか そういうことは意識してなくて/泳いでいられればそれで満足で/その分誰よりも 人との間に境界線を持っていた」A子。彼女のようになりたくてもなれない、A太郎の立場が素晴らしく切ないのです。(広報部・丸)

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2020年もありがとうございました!


みなさんの2020年の本は思い浮かびましたか? ご紹介した書籍はSPBSでもお取り扱いがございます(一部を除く)。在庫状況は店舗によって異なりますので、ご興味のある方は各店までお問い合わせください。

年末年始、今年はご自宅で過ごす方が多いかもしれません。冬の澄んだ空気の中で読書をする時間は、年忘れにも、年始まりにも皆さまの心を癒してくれることと思います。

お身体に気をつけて、良い年末年始をお過ごしください。
2021年もSPBSをよろしくお願いいたします!


各店の年末年始の営業時間はこちらのページをご覧ください。



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