雑誌作りは「土」と「肥料」を準備するところから始まる!?
4月29日、SPBS編集ワークショップ2023の第1回目が開催された。講師は、ミシマ社の三島邦弘さん。「雑誌とは何か? 2023年の雑誌づくり」を講義のテーマに、雑誌作りの可能性についてお話しいただいた。参加者は、自己紹介と好きな雑誌について発表。
「いい土があれば美味しい野菜が育つのと同じだ。雑誌編集も、土台が大事」。三島さんのお話の中で最も印象に残った言葉だ。いい土にするために必要なものは何か。本ワークショップに参加している時点で、参加者は平等に「雑誌を作る」ということを目的とした同じ土を持っている。しかし、全員が同じ野菜を作るわけではないので、土をカスタマイズする必要がある。それぞれ、肥料が必要だ! 参加者の皆さんの自己紹介と、好きな雑誌についての発表を聞き感じたことは、皆異なる感性を持ち、異なる考えを巡らせているということだった。三島さんのお話にしても、同じ話を聞いたはずなのに、同じ受け取り方をした人は誰一人としていなかった。
三島さんは、「その時伝えたいことを、好きなものを詰め込んでいったら雑誌ができ上がった」と、おっしゃっていた。詰め込むべきものこそ、肥料となるものだ。皆が持つ土に、肥料が加わり、それぞれのベストな「いい土」ができ上がる。いい土ができたら、あとは野菜が育つのをそっと待つ、そんな感じだろうか。自分の身近なものに置き換えると、あれだけ難しいと思っていた雑誌作りも、何だかハードルが低くなったように感じる。三島さんのお話は、わたしたちが抱く雑誌作りに関する不安を軽減させてくれるようなお話ばかりだった。三島さんのように、迷わず、感性のまま進んでみよう。とにかく、自分自身が楽しんでやってみよう。そう思った。
講義の後半は、3人1組のグループワークだった。グループワークでは、三島さんのお話や、選んだ雑誌の好きなところを自分の作る雑誌にどう活かすか、ということを話し合った。自分以外の考えに触れられるいい時間で、終了時間を超えても皆話し込んでいた。
野菜は、育つまでに天候の影響を大きく受ける。他の参加者からの刺激は、きっとそれだ。正直、話していてかなり圧倒された。私などが参加して良かったのか、と思うレベルで、皆さん「伝えたいもの」を持っていて、しかも考えを言語化するのも上手だった。雪の下の野菜は、寒さというストレスで甘く育つらしいが、他の参加者からの刺激がそういった作用をもたらしてくれることを祈って、次回からも素敵な感性に揉まれたいと思う。
アシスタント受講生 ふじもと
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