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伊豆の聖地で写真フォルダが茶一色になった

こちらはSPBS編集部員による雑文連載コーナーです

毎年、新春に楽しみにしているニュースがある。
「カピバラ長風呂対決」の結果である。

全国の5つの動物園のカピバラによる長風呂対決で、毎年各園を代表するカピバラが1頭ずつ参加している。
2024年は長崎バイオパークのカピバラ・ドーナツくん(10歳のオス)が3時間に迫るタイムで優勝。昨年優勝した那須どうぶつ王国のカピバラは、なんと25分でギブアップ。連覇を逃した。
詳細は以下の通り。

1位 長崎バイオパーク(長崎)ドーナツ:2時間53分57秒
2位 伊豆シャボテン動物公園(静岡)トリュフ:2時間23分54秒
3位 埼玉県こども動物自然公園(埼玉)ヘチマ:1時間47分24秒
4位 那須どうぶつ王国(栃木)コブ:25分02秒
5位 いしかわ動物園(石川)シータ:26秒

出典:那須どうぶつ王国HP

なんともほっこりするニュースである。

「カピバラ×風呂」という最強ほっこりな組み合わせは、国内でも有数のカピバラ飼育園である伊豆シャボテン動物公園の飼育員さんの偶然の発見により生み出されたものだった。同園によると1982年の冬、お湯を使ってカピバラの展示場を掃除していたところ、湯だまりに足やお湯を浸けてカピバラたちがくつろいでいる姿をたまたま発見したのだそう。
それから毎年寒くなると「カピバラの露天風呂」を開催し、冬の風物詩として定着したのだという。
 
例年11月ごろから4月の上旬まで露天風呂を開催しているということで、「いつかは……!」と憧れていたカピバラ飼育の聖地に行ってみた。


熱海から伊東線、伊豆急行線と電車に揺られ、伊豆高原駅からバスに乗車(伊東駅からもバスが出ている)。動物公園の門をくぐると早速、カピバラと触れ合えるコーナーが設けられていた。

さすが聖地、園内には3箇所ものカピバラの展示場があり、そのうちの一つに露天風呂が併設されているということらしい。

直接触れ合えるコーナーではエサ用の草も売られており(1回200円)、細いニラのようなイネ科の草をあげることができる。地上最大の齧歯(げっし)類であるカピバラは、ぬぼっとした見た目によらず鋭い歯を持っているため、エサをあげる際にはミトンをつけるように、と注意書きが添えられていた。

この距離感! 意外と毛は硬い。

お目当てのカピバラ露天風呂は、土日祝日は午前と午後の2回開催されているということで、午後の回を目指して園内を散策。

伊豆シャボテン動物公園は広大な敷地を持ち、カピバラを含めなんと140種類もの動物を飼育している。シロテナガザル・リスザルなどサルの仲間、レッサーパンダ、マーラ、カンガルー、エミュー、カワウソ、アリクイ、水鳥やクジャクなどの鳥類もいる。
また名前の通りシャボテン(サボテン)の展示でも有名で、5つの大きな温室で1,500種類ものサボテンを見ることができる。

クジャクに道を塞がれた(笑)
放し飼いされていてあちこちでくつろいでいた
カンガルーもこの距離感で見られる

園内を巡り、13:15ごろにカピバラの露天風呂の前にたどり着いたときには、多くの観光客が入浴開始の時を待っていた。

そして13:30、展示場に音楽が流れ、飼育員さんが登場。音楽が給湯の合図だとわかっているのか、展示場内に散らばって過ごしていたカピバラたちが少しずつ露天風呂に集まってきた。

のそのそと集まってきたカピバラたち

いよいよ給湯が始まると、17頭全員が湯に浸かった。おとなのカピバラたちはそれぞれお気に入りのポジションで、仔カピたちは身を寄せ合って、だんだんとたまっていくお湯で体を温める。
カメラを構える大勢の人間たちは見えているのかいないのか、意に介さず至福の表情を浮かべていた。自然体でリラックスする様子が本当に癒される。

待ち受けにおすすめ

シャボテン動物公園の露天風呂では、「変わり湯」というお楽しみ要素もある。露天風呂の開催期間中、冬至時期の「ゆず湯」をはじめ、「柑橘いろいろの湯」、地元の名産品を使った「お茶(ぐり茶)の湯」「いちごの湯」、「笹の湯」、「ひのきたまごの湯」など、さまざまな変わり湯を(カピバラが)楽しむことができるのだ。

この日の変わり湯は「りんご湯」。たっぷりとお湯が張られた露天風呂に、飼育員さんがカットしたりんごをポンポンと投げ入れると、ぼーっと湯に浸かっていたカピバラたちがむしゃむしゃと食べ始めた(柑橘系は酸っぱいのか、あまり食べないそう)。

食べ物を目の前にすればお湯の中でも(カピバラにしては)素早く動き回る

ひととおり食べ尽くすと、またぬぼーーーっと気が抜けた表情を見せた。どういう体の構造なのか、1時間のぼせることなく浸かりっぱなしだった。
本来は南米のアマゾンで暮らしているカピバラにとって、日本の冬の乾燥は大敵。保湿という点でも、お風呂は理にかなっているらしい。

日中はのんびり草を食べ、お風呂に入ればゆる〜い顔を見せるカピバラだが、本気で天敵から逃げる時には時速50kmで走ることができる(イメージができない……)。「カピバラ」の名前も、その由来は生息地の南米の言葉で「草原の支配者」。ギャップが激しすぎる生き物である。

動画も静止画もほとんど変わらない

ちなみに、お風呂好きの人がカピバラと一緒にお湯に浸かるのはまったくおすすめできない。なぜなら……カピバラたちは野生の習性で、お風呂の中でおトイレをしているからである(陸上だと痕跡から天敵に居場所を知らせてしまうため)。

1時間見ても飽きない光景である

1時間たってお湯が止まると、客たちのエサに誘われ少しずつ露天風呂を出ていった。

湯上がりのサービスショット(?)体からも湯気がたちのぼる

飼育員の偶然の発見が冬の名物となり、海外からも観光客が訪れる伊豆シャボテン動物公園の露天風呂。カピバラたちの「ぬーーー」「ぼーーー」の表情が溢れ、なんとも癒される光景が広がっていた。



おまけ・カピバラに負けずリラックスしていたレッサーパンダ

編集部み

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