2カ月間のワークショップ「トランスローカルマップをつくろう!」開催レポート【SPBS THE SCHOOL×MOMENT】
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2カ月間のワークショップ「トランスローカルマップをつくろう!」開催レポート【SPBS THE SCHOOL×MOMENT】

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“編集”を通して世の中を面白くする遊びと学びのラボラトリー(実験の場)〈SPBS THE SCHOOL〉は、古今東西のすべての本、著者、編集者をパートナーに迎え、日常のもの・こと・場所を観察し、意味を捉え直すことで、自分と世の中に小さな変化を起こす学びの場です。

今回は、昨年10月末から始まり、今年1月にSPBS本店で最終発表会を実施したワークショップ「トランスローカルマップをつくろう!」のレポートをお届けします。

当ワークショップは「あらゆる地域・分野を横断しながら新しい都市のあり方を模索する」人たちのためのトランスローカルマガジン『MOMENT』の編集・デザインチームとタッグを組んで開催しました。ワークショップを通してどのようなことをやってきたのか、講師や参加者の皆さんの声をご紹介しながら振り返っていきます。(文・SPBS THE SCHOOL事務局)

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ワークショップのテーマは「街」

SPBS THE SCHOOLが企画した新たなワークショップは、「街」をテーマとして始まりました。昨年8月に第3号が発行された『MOMENT』は、あらゆる地域や分野を横断しながら、新しい都市のあり方を提案している雑誌です。そんな『MOMENT』の編集・デザインチームをメインパートナーに迎え、ワークショップ「トランスローカルマップをつくろう!」が実現。『MOMENT』編集部の白井瞭さんと片岡裕美子さん、そして第1号から3号まですべてのデザインを手がけるデザイナー・飯田将平さんと、ワークショップの構成や講義内容を一緒に考え、運営してきました。

「トランスローカルマップをつくろう!」全5回のカリキュラム


講義の振り返り

第1回の講義では、MOMENT編集・デザインチームの3名が講師となり、雑誌『MOMENT』について、「トランスローカル(Trans-local)」とはどういうものか、それをマップにするためにはどう考えていくといいのか、お話しいただきました。

「トランスローカル」という言葉は、『MOMENT』が目指しているあり方で、「いまここにある資源や技術、文化を別の見方で読み解き直すことで新しいローカルのあり方を想像し、具現化すること」だといいます。今回のワークショップでは、この「トランスローカル」を捉えた“マップ”をつくることが最終目標になっています。

講義の最後には、MOMENT編集・デザインチームが選んだ「これもトランスローカルマップ」であるという例を多数、ご紹介いただきました。

第2回から第4回までは、参加者の皆さんにゲスト講師の講義と課題に取り組んでいただきました。

第2回のゲスト講師は、アーティストの村上慧さん。この回では、村上さんの制作への思いを聞いたり、「最寄りのスーパーマーケットについて描いてみる(形式は自由。安易に写真は使わないこと)」という課題から見えてきたことを話し合ったり、“マップ”の概念が覆るような回となりました。


続く第3回のゲスト講師は、ローカルジャーナリストであり、島根県を拠点として、雑誌『みんなでつくる中国山地』の制作なども手がける田中輝美さんでした。田中さんからの課題は、「あなたのローカルニュースを1つ教えてください(1人以上にインタビュー取材をすること)」というもの。

講義では、実際に田中さんが『みんなでつくる中国山地』を立ち上げるまでに実行してきたことや、制作する上で直面した課題、メンバーとのコミュニケーションの取り方などを中心にお話しいただきました。また、田中さんが新聞社に勤められてきた経歴や、雑誌づくりでの経験を通して培った、取材やインタビューに対する心構えからノウハウまでさまざまな学びがありました。


2021年最後の回となった第4回はゲスト講師に大原大次郎さんをお迎えして、デザインをテーマに講義を進めました。テクニックやソフトの使い方ではなく、「そもそもデザインとはどういうものなのか」「何をもってデザインなのか」を考える回となり、手を動かすアクティビティの時間が多く取られました。

講義のテーマは「手遊びと手探り」。大原さんは「デザインは謎が多いジャンル。翻訳しきれていないからこそ、自分の言葉に置き換えて捉えることができ、身近な存在になるのでは」といいます。実際に、事前課題「地名を付ける(自分の見知った場所を自分なりの言葉で記述してみる)」で考えてきた地名や自分の名前を、利き手と逆の手を使い、目をつぶって定規を使って直線だけで書いてみることに。こうした「手遊びと手探り」によって、デザインの翻訳に近付けるのではないかと語る大原さんから、デザインについてのさまざまな考え方を手と頭を使って学びました。


最終発表会

そして迎えた、2022年1月8日。「トランスローカルマップをつくろう!」第5回として、最終発表をSPBS本店で行いました。希望参加者とMOMENT編集・デザインチームはオフラインで、ゲスト講師の3名と遠方からの参加者の皆さんはオンラインでの参加となりました。

参加者一人ひとりが、「トランスローカルとは何か」「マップとは」「自分は何をどう表現したいのか」といったことを5分間でまとめて発表しました。

草木染めを通して自分が生まれ育った場所を考える

住んでいる場所の周辺を観察する

父親の勤めていた様子がどうであったかを写真で表現する

スーパーマーケットの買い物客がどんな商品を購入しているのか観察する

「共感覚」をテーマにその場所とマッチする音楽を考察する

自分が生まれ育った地域にある廃墟に着目する

生年月日が同じ人を世界中で探す

訪れた島で散策したことをまとめる

隅田川にまつわる橋に注目して2033年のカレンダーをつくる……。


全5回のワークショップを経て、参加者それぞれが練り上げた独創的な企画が発表されました。


これからのトランスローカルマップ

全5回のワークショップを経て、参加者の皆さんから今回の学びや、ワークショップを通じて講師や他の参加者と共有したことなどをお寄せいただきました。

「デザイナーやクリエイターの方々の思考や考え方を聞けたことはもちろんですが、自分に与えられた課題に対し、意見や改善点を直接もらえたことで、より視界や思考が広くなったような感じがしました」

「今回のワークショップはとても楽しく受けて良かったなと思いました! その上で、毎回出していただいた課題への取り組みも楽しかったのですが、個人的には“ワークショップ”というのは最終アウトプットをつくるところにエネルギーを注ぐイメージがあったので、そこに対峙する時間が少ないなと感じました。また、最終アウトプットに対するフィードバックの時間が何回かあるといいなと思いました」


「Slackや座談会などで受講者に手厚く声をかけていただいたことにすごく助けられましたし、感謝しています」

「『トランスローカル』性について考えたことがなかったので、個々の方がそれぞれに考えたトランスローカル性の広がりをリアルタイムに目の当たりにできたことに多くの学びを得ました」


最後に、今回「トランスローカルマップをつくろう!」に構想段階から最終発表まで、一緒に伴走いただいたMOMENT編集・デザインチームの皆さんからのメッセージをご紹介します。

編集やデザインは専門家の特別な技術ではなく、だれもが使うことのできる手立てだと信じて進めてきましたが、全5回という限られた時間の中でも、そしてたった一人でも、ここまでのトランスローカルマップがつくりあげられるんだという体験は、MOMENTチームにとっても新鮮で心躍るものでした。参加メンバーそしてゲストのみなさま本当にありがとうございました!またの機会を楽しみにしています!(白井さん)

愛着あるいは興味をもっているローカルを、さまざまな手法で探索し、独自の切り口でアウトプットする全5回のワークショップをご一緒するなかで、それぞれの視点が更新され、「ローカル」の領域そのものが塗り替えられていく過程にワクワクしました。マップという形で誰かに手渡されることで、さらに変化が重なっていく、その波紋も引きつづき楽しんでいきましょう。(片岡さん)

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目の前の“当たり前”にとらわれず、手と体を動かしながら自分の地図を描き直すこと。今回のワークショップでは、この点を体感してもらうことを目的としていましたが、参加者の皆さんがつくり上げたものの多様性は、まさにその本質を体現していたように感じます。

SPBS THE SCHOOLは、専門技術や知識をそのままインストールできるものではないかもしれません。しかし、そうした専門性のエッセンスを自分の関心に引きつけて学び、自ら考え、行動し、何かをつくり上げ、それを共有する体験は、何が起こるか分からない時代を生きていく中で大切な、ものの見方や考え方のエクササイズになると、改めて信じることができたワークショップでした。

引き続き、SPBS THE SCHOOLの取り組みもよろしくお願いいたします。

▼トランスローカルマップをつくろう!短期集中講座(全5回)


▼【受講生募集中!】SPBSワークショップ「写真集のすすめ」


▼SPBS THE SCHOOLについて

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