ワークショップ「コミュニティーメディアのはじめ方」開催レポート【SPBS THE SCHOOL×She is】
こんにちは。SPBS編集部です。
“編集“を通して世の中を面白くする、遊びと学びのラボラトリー(実験の場)〈SPBS THE SCHOOL〉では、2020年10月〜2021年1月にオンラインワークショップ「コミュニティーメディアのはじめ方」(全7回)を開催しました。SPBSとライフ&カルチャーコミュニティー「She is」は、新たなコミュニティーメディアの立ち上げに興味・関心を持つ参加者とともに、コンセプト立案から継続する仕組みの構築まで [ゲストによるトーク]+[ワークショップ]を通して、実践の場を重ねました。
この記事では、最終プレゼンで発表された10のコミュニティーメディアの企画内容と、ワークショップの場づくりを担当したSPBS THE SCHOOL事務局からのコメントをご紹介します。リアルでは会ったことのない参加者たちが、約3カ月間オンラインで切磋琢磨してたどり着いた、それぞれの“コミュニティーメディアのはじめ方”とは。
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ウチらと社会とのハブになるべく活動するクリエイティブチーム「hi&Hi club」
作成者:坂本彩音さん(Instagram @hi_hiclub)
「POLITICS is EVERYWHERE」がコンセプトで、政治や社会問題に対するハードルを下げたいという思いのもと、人間味あふれる表現方法で発信をするメディア。社会の一員である“ウチら”が、政治や社会問題に対して当たり前に話せるコミュニティーを目指します。
SPBS THE SCHOOL事務局より
坂本さんが生み出すアイデアに、笑顔になった(時には爆笑した)ことは数知れず。その面白さは、コミュニティーに参加する人を具体的にイメージし、考え抜いたからこそ生み出されたものだと思います。多くの人にとって身近なコミュニティーメディアになるのでは。
日常の景色が特別に思えた瞬間「interscène」
作成者:神村結花さん(Instagram @inter_scene)
©️IORI KIKUCHI / @kikuchiori
風景や景色を意味する“Scene”と、舞台を意味するフランス語“Scène”を掛け合わせた「日常の風景を舞台に」がコンセプト。日常に潜む非日常の瞬間を、小さなきらめきとして集めていくプラットフォームを構想しています。
SPBS THE SCHOOL事務局より
画面から飛び出してくるのでは、と思うような豊かな表現力を持つ神村さん。独特な感性でつくり上げられるコミュニティーメディアは、きっと一人では見つけられない、さまざまな視点を味わえるものになるだろうと思います。
心をゆるめて、結びなおす素直な自分と約束をする場所「LOBBY」
作成者:azuさん(Instagram @lobby_foryou)
LOBBYは、一人閉じこもって自分と向き合う部屋も、通りすがりの友人と気軽に話せるロビーもあるような、仮想のホテルをイメージしています。ここにいるときは素直でいようと思えるコミュニティーを目指して。
SPBS THE SCHOOL事務局より
毎回真剣に取り組まれ、最後まで企画内容を更新し続けている姿が印象的でした。まるで自分自身との約束のように作られた最後のタグラインは、まさにazuさんだからこそ実行する意味のあるものだなと思い、心が動きました。
リプロダクティブヘルス・ライツを話す居場所作りプロジェクトby助産師「mehas」
Instagram @mehas_mehouse
「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(=性と生殖に関する健康と権利)」を話したり聞いたりする、ジャッジも否定もない居場所としてのコミュニティーメディア。自分が一人ではないことに気づいたり、新しい発見を得たりすることができる場づくりをはじめたいと考えています。
SPBS THE SCHOOL事務局より
ご自身が仕事をする中で湧き上がった課題意識を形にするべく、全7回の間一貫して高いモチベーションを維持し、真剣な眼差しで試行錯誤している様子がとても印象的でした。mehasはきっと誠実なコミュニティーになると思います。
PIECE for PEACE-未来のかけら-「MOBIIILE &Co.」
作成者:サトシさん(Instagram @mobiiile.co)
流れに逆らうのでもなく、飲み込まれるのでもなく、風を受けて揺らぐ“モビール”のように、自分の中にしなやかな軸を据えて生きる人のインタビューをまとめるメディア。読者が、それぞれの自分らしい生き方を探る場をつくりたいと考えています。
SPBS THE SCHOOL事務局より
何事にも妥協せず、考え抜くサトシさんの姿勢に他のメンバーも学ぶことが多かったのではないでしょうか。本質を読み解くことが得意なサトシさんだからこそ、きっと必要とされる場が育まれていくと思います。
全ての“ちょっと息苦しい”あなたへ「secret base」
作成者:takeさん(Twitter @SECRETBASE_2021)
周りに共感してくれる人が見つからない話題や、誰にも相談できない小さな悩み。どんな話題も、どんな人でも受け入れる「secret base」=秘密基地をつくりたいと考えています。“あなた”を構成するものを守れるように。
SPBS THE SCHOOL事務局より
画面越しにも伝わる優しい人柄と、聞き上手なところが印象的だったtakeさん。小さな悩みを大事にできる場所をつくりたいと話していたtakeさんらしい、クローズドなコミュニティーメディアのこれからが楽しみです。
小さな部屋でひそひそ話をするように、些細な違和感を共有するメディア「Sequence」
作成者:ふらにーさん(Twitter @fnz____)
日常生活での小さな違和感を共有し、心のモヤモヤを和らげるコミュニティーメディア。世の中の仕組みから最近見たドラマの話まで、さまざまなトピックについてそっと声を出してみるきっかけのような部屋を構想しています。
SPBS THE SCHOOL事務局より
いつも笑顔で、毎回楽しそうに参加する姿が印象的なふらにーさん。最後の発表で新しく出されたタイトルがふらにーさんの思いを包括しているように感じ、具体的なイメージを想像できました。今後どう展開されていくのか、とても楽しみです。
生活の窓をあけるシアターインレジデンスメディア「Space_scoop掬う」
作成者:橋谷一滴さん(HP)
1つの家を舞台に、そこで行われる創作活動(演劇をはじめ、ZINE制作やラジオ発信、写真撮影など)や生活を、関わる人たちと一緒に循環させていくコミュニティーメディア。参加者それぞれの活動が、相互に共鳴し合い、新たなアイデアが生まれることを目指します。
SPBS THE SCHOOL事務局より
生活の中でクリエイティブを生み出していきたいという、橋谷さんのユニークな発想に毎回刺激をもらっていました。橋谷さんのつくる場で生み出された作品に触れる日を楽しみにしています。
萌えで世界がつながる「The SHIP For SHIPPERS!」
作成者:べっかさん(Twitter @commu_shippers)
マンガやアニメなどのファン(Shipper)同士の、国や言語の垣根を越えた文化交流を図るコミュニティーメディア。ファン同士の関係性(Relationship)構築をサポートすることを目指します。
SPBS THE SCHOOL事務局より
「Shipperさんのための場所をつくりたい」と、オープンに話してくれたべっかさんの姿が忘れられません。その一言が、他の参加者の方も本当に自分がつくりたいものに“本音で”アクセスしていくきっかけになったように思います。行動力を武器に、世界を広げていかれることを楽しみにしています。
自分の世界に色をつける。「tinted」
作成者:Yukiさん(Instagram @tinted_jp)
本、映画、音楽、言葉に触れながら、自分の色を楽しく探すコミュニティー。自分を表現することが苦手な人でも、読んで、観て、聴いて、語ることで、自分の色を見つけてほしいという思いを込めて、tinted=「ほのかに色づく」という名をつけました。
SPBS THE SCHOOL事務局より
海外での生活も経験しているYukiさん。自分の考えとは異なる意見も大事にし、柔軟に取り込んでいく姿がとても印象的でした。どんどんブラッシュアップされていくYukiさんのコミュニティーメディアが、この先どう変化を遂げていくのか楽しみです。
わたしの月日に光を灯す枕元の隠し部屋「眠れぬ夜の談話室」
作成者:美月さん(Twitter @bot260246)
SNSに投稿するのも、あえて誰かに電話をするのも気が引けるような“眠れぬ夜”。そんな心細い時間にふらっと立ち寄ることができたり、安心して対話ができたりする談話室。それぞれの眠れぬ夜に小さな光を灯すコミュニティーを目指しています。
SPBS THE SCHOOL事務局より
最初から最後までブレずに「眠れない夜に光を灯すこと」を軸に、丁寧に言葉を紡がれ、形作ってきた美月さん。美月さんだからこそつくることができる、静かで優しいコミュニティーとして、きっと誰かの心のよりどころになると思います。
*以上、メディア名のA-Z、五十音順にてご紹介させていただきました。
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プレゼンを拝見し、コミュニティーメディアに対するそれぞれの思いの強さと、実装への前向きな姿勢に心を大きく動かされました。今回ご紹介したアイデアはいずれも、実際のコミュニティーメディアとしての今後が楽しみなものばかりです。
本ワークショップの注目すべきポイントはもう一点、「このメンバーの集まり自体が一つのコミュニティーになっていたこと」と言えるのではないでしょうか。発表当日、他の参加者のプレゼン終了後に、共有スプレッドシートに感想やアイデアが書き連ねられていく様には、お互いを尊重する姿勢や3カ月間のワークショップで培った一体感を覚えました。一緒に歩んできた仲間たちは、これからの力強い味方になることと思います。
すでに運用がスタートしているコミュニティーメディアもまだ準備中のものもありますが、それぞれの未来がとても楽しみです。興味を持ったコミュニティーメディアがありましたら、SNS等にぜひ訪れてみてください。
SPBS THE SCHOOL
あらゆるものごとを編集する企業・SPBSが主催し、“編集”を通して世の中を面白くする遊びと学びのラボラトリー(実験の場)です。古今東西すべての本、著者、編集者をパートナーに迎え、日常のもの・こと・場所を考察し、意味を捉え直すことで、自分と世の中に小さな変化を起こしていきます。