見出し画像

夏恒例! 浅草で本好きが踊り狂い、財布は軽くなった(BOOK MARKET記録)

夏の浅草の恒例、アノニマ・スタジオさん主催の「BOOK MARKET」。本のつくり手が集い、自慢の本たちをこれでもかと並べて紹介してくれる、本好きにとって見逃せないイベントの一つだ。

2024年は7月20日・21日に実施され、1日目のお昼にお邪魔した。この場を借りて、今年買った本の一部を記録しておく。


 ・エッセイ集
『犬ではないと言われた犬』(向坂くじら 著/百万年書房/2024年)

7月に刊行されたばかり。どうしたって素通りできないタイトル(犬好き)に惹かれて購入(まだ序盤までしか読めていない)。
「向坂」さんの読み方を確認しようと後ろのページを開くと、ある問いの答えが先にわかってしまうのでご注意を(奥付から開きがちな編集者も)。


・ビジュアル探訪記
『復興建築──モダン東京をたどる建物と暮らし』(栢木まどか 監修/トゥーヴァージンズ/2020年)

「味なたてもの探訪」シリーズ第3弾。
建築の知識があれば、街歩きの解像度がぐっと上がる。理系科目が得意だったら建築系を学んでみたかったと思う(物理が壊滅的だった……)。家の間取りをテーマにした本をよく親が読んでいたことに影響を受けたのか、建物の中身もなんとなく好きで、新築の間取りを紹介するチラシを見るとワクワクする。
東京は関東大震災後に街の景色ががらりと変わった。本書では帝都の骨格となった都市計画と、美学を感じるモダンな復興建築たちを具に知ることができる。
“好き”を極めたオタクたちの中には、自分がその対象になりたいと願うようになる人もいるらしいが、建築オタクも「この美しい建物になりたい……」と垂涎するものなのだろうか?


・女性犯罪論
『月経と犯罪──“生理”はどう語られてきたか』(田中ひかる 著/平凡社/2020年)

ここ数年、性教育に注目が高まっているが、BOOK MARKETのブースでも年々、性教育や月経、性犯罪などに関する本を見かけることが増えているように感じる。
田中さんは歴史社会学者で、これまでも女性による犯罪や生理用品などに関する本を出版されており、ブースでまとめて紹介されていた中で本書を購入。途中まで読んだがめちゃくちゃ面白い! 女は月経やPMSのせいで犯罪を犯すのだと、判決に影響を及ぼしていた時代があったことを初めて知った。
この本を開くと、真っ赤な鮮血の色が目に飛び込んでくる。読みながら私はもっと、月経の話を他人としたいと思った。長いこと社会の中でタブー視されてきた、でも本当は地球上の約半分の人間と切っても切り離せないはずの、ろくでもない、どす黒い血の話を。

 

・コミック
『もふっとキャンプ』(佐倉イサミ 著/トゥーヴァージンズ/2022年)

キャンプには全く興味がないが、表紙のキャンプをしているくまのイラストがかわいくて購入。動物たちが人間と同じように服を着て、二足歩行で生活する世界の中で、社内SEとして働きながら週末にソロキャンプを楽しむ熊井が主人公。体格に似合わず内気な性格の熊井はキャンプ知識が豊富で、グッズやファッションにも目がない。もふっとしたトーンながら、キャンプ中の描写はかなり本格的。キャンプをしたことがない人でも、山奥の澄んだ空気を感じ、焚き火を眺めているような気分になれる。非日常的なシーンが続くのも、気分転換にぴったり。


・カルチャー誌
『納豆マガジン vol.2』(村上竜一 編集長/さりげなく/2022年)

個性的な本が並ぶBOOK MARKETの中でも一際異彩を放っていた『納豆マガジン』。ネバネバがつきそうな見た目だが、印刷物なのでノープロブレム。
2号の特集は「ひきわり納豆」。小さい頃からよく食べていたけれど、そういえばどのタイミングでひきわりサイズになり、どのように生産されているのかよく知らなかった。たっぷりのビジュアルと、いたって真面目な取材や考察でひきわり納豆の魅力に迫る。ワラの中の大豆のごとく、とにかくぎゅぎゅっと“納豆愛”が詰め込まれた、食べたくなる、を通り越してなんともおいしい一冊。


今年は10月にも新宿の紀伊國屋書店さんで出張版のBOOK MARKETが開催されるらしい。名物の3冊買うともらえるエコバッグも、紀伊國屋書店カラーに。秋の楽しみが一つ増えた。

この記事が参加している募集